映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

愚者の毒/宇佐美まこと

『麦ちゃんの言う面白い、や、唸る!は、とても参考になるのでどんどん紹介して!』と仰ってくれる方が多いので💓調子に乗って本日は

 

外せないこの一冊、を、ご紹介。なんなら、一番好き。

 

ファンタジー気質ではないのでどうしても好きな方向が

"現実味があり(もしくはノンフィクション)、考えさせられる作品が好き"

ですので夢見がちなホワホワした物を好まない為にそれらをお望みであると私のおススメはヘビーである事には違いない、と思うのですが…

 

くそ唸った

 

作品があるのでそれを是非書いておきたいと思います☺

 

こちら。

【📖愚者の毒/宇佐美まこと📖】

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!

もう、一言でいって"凄い"です。唸ります。

 

このタイトルの愚者の部分。

これがニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』に出てくる

多くのことを中途半端に知るよりは何も知らないほうがいい。
他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、
むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ。

という言葉に当たるのですが、では続いて現れる"毒"という言葉はなんなのだ、と言いますと以下本文からの引用ですが

 

「こういう事を言った研究者がいましたよ。『命を奪う毒と命を救う薬との違いはほんのわずかである』ってね。」

この上記の愚者+毒=真の賢者とその配合の確率(運)

というのがこの本のタイトルになってきます。

 

個人的にサスペンス小説が好きなんですが、サスペンスというと推理部分の方が多くなってきてしまい『〇〇警部補シリーズ』だとか『犯人は誰かを考察するのが面白いので好き』という方も多いので、重点としてはその推理考察に比重がかかってしまうわけですが、私は!純粋に!サスペンスが好き!!

 

ここ難しいとこですよね。

サスペンスで探すとどうしても推理物がかぶってくる、だからと言って、ではサスペンスミステリーとかならどうか…としてみると、頼んでもないのに超常現象物をひきあててきちゃうしw

 

ぶっちゃけ犯人なんかどうでもいいのですw誰が誰を殺したとか興味ないんです。

被害者がいれば当たり前に加害者がいるわけですから。ただ、生きている限り、誰もが被害者にも加害者にもなってしまうその状況で、何がどうして人をそうさせたのか、の方が私にとっては重要であり、その人をそうさせてしまう何か(動機と背景)を緻密に描き上げたものが好き!

 

そして、この愚者の毒は、恐ろしい程に重く、辛い人生を描き出します。

 

文学としても大変優れているし、なんだったらルポでもいけんじゃねーのか…という位の手応えの中、交差する人間模様、なんとなく気づいてたけど…あぁ…あああ!という波にのまれます。その、ああ!が連続するうえに、こっちが考えていた程軽いものではなかった…という悲しみに、真の悪とは何か、をとても考えさせてくれます。

善人だからこそ持つ生への後悔や苦悩、善があるからこそ際立つ悪、皆が皆、誰かが自分と他者の幸せを願い、それなのに翻弄されてしまう人生の残酷さ。そこが本当の"毒"である部分で、ほんの小さな違いに過ぎず、生かすものもあれば殺すものもある、という部分なんだと思います。望んではいないのに、時に抗えぬ運命がある。

 

ガツンと来ます。

 王道といいましょうか、古典的でありながら、生きるという部分にはある程度、運で定められた何かがあり、皆平等とはいかぬまでも、真の賢者である愚者として残された人生を歩んでいきたいな、と思わせてくれた本でありました。

 

重いです。途中、だいぶ辛いです。

普段なら500ページ物は二時間程度で読む私もこればかりはじっくりと何日もかけて繰り返し読む程の話です。

だいぶ辛いですが、お読みになって頂けると私の言いたい事も伝わると思いますw

お薦め本詰め合わせ号(全9冊)

面白かった(おススメ本)の詰め合わせ号です💓

※順不同であり、カテゴリーも発売年も区分けナシでお送り致します😊

※マイベストではありません。

 

【📖人間には向いてない / 黒澤いづみ📖】

内容紹介

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

 

SFなのか、サスペンスなのか、ミステリーなのか…と迷うところですが、これは素晴らしい社会派ドラマ!異形である=普通や通常と呼ばれる物とは異なる=障害を持つ子の親が抱える苦悩やそれを取り巻く社会、と読める部分もあり、どの方向からも楽しめ、そして考えさせられる素晴らしい内容でした。kindle版も出ています。

 

【📖火のないところに煙は / 芦沢央📖】

内容紹介

本年度ミステリ・ランキングの大本命! この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!

 

ホラーやミステリーはよく読むのでそんなに怖いと思う事がないのですが、これは怖かった。何が怖いって、え?現実?創作?何?それにしてはよく出来てるよねぇ…っていう怖さがあります。装丁も大変凝っていて、裏表紙ー!よく見てそこぉー!ですw

なかなか楽しませて頂きました💓kindle版もあります。

 

【📖藻屑蟹 / 赤松利市📖】👊今季、大本命!

選考委員、激賞! 62歳、住所不定、無職の大型新人、第1回大藪春彦新人賞を受賞し、鮮烈デビュー! の受賞作には続きがあった! 受賞作に第二章~第四賞を加筆した全四章を合本! 編集部も騒然の問題作を、電子ファーストで緊急刊行!

大藪春彦新人賞の選評
今野敏 選評(抜粋)
内容の濃さで群を抜いていた。この短い作品の中で、登場人物の印象を変えてみせている。これはなかなかの筆力だ。迷いなく受賞作に推した。

馳星周 選評(抜粋)
記念すべき第一回の受賞作がこのように完成度の高いものであることは、故大藪春彦氏も喜んでいるのではないだろうか。

徳間書店文芸編集部編集長 選評(抜粋)
世に出さなければならないという使命感を抱くほど、作品力は群を抜いていました。

●受賞の言葉(抜粋)
書き続ければ報われると知った。たとえ将来、路上に帰らざるを得ないほど困窮しても、日銭仕事に執筆の時間を犠牲にするくらいなら、わたしは何の躊躇もなく路上に帰ります。その覚悟を受賞の言葉としたい。

●あらすじ
二十七歳で人生を諦めた男。彼は原発事故の模様をテレビで見ていた。これから何かが変わる??そう信じて。しかし待っていたのは何も変わらない毎日と、除染作業員、原発避難民たちが街に住み始めたことよる苛立ちだった。
六年後、彼は金を得るために、高校時代の友人・純也の伝手で除染作業員となる。しかし、それは純也のある計画のために利用されているだけだった……。

 残念ながらkindle版しか出ていないのですが、これについてtwitterで言及したところ多くの方が読んでくれたらしく、紹介冥利に尽きました💓その他、赤松作品はどれも激ノアール。

ですが、やはり、出版は社会的な問題及び著者の安全性も考慮し、それでも読みたい方だけが読めばよいという『新しい電子書籍の可能性』を感じました。なるほど、こうした使い方というのはとても未来があるなぁ、と。それ程に問題作だと思います。

今季一押し、のおススメ。

 

【📖さざなみのよる / 木皿泉📖】

小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!

木皿作品は大好きなのですが、これはもう5ページにも到達しない内から涙がホロホロ零れ仕方がなかったです。本当にどの章も泣ける。

「富士ファミリー」というタイトルでドラマ化されていたらしいのですが、この繊細な文章とその時に感じる静かな情感は……これは…演技では難しい。人は何のために生きるか、生きていると意味とは何か、を、読みやすく、人間ドラマとして仕上げてあります。人は生きているだけで、その存在で誰かを生かす、を教えてくれる良い本です。

※+αで恐縮ですが、木皿作品で言うともこちらの『昨夜のカレー、明日のパン』も非常におススメで私の大好きな一作でもあります。最後の最後に「ふわぁあん!」と泣いてしまいそうなエモさがある。大好きなので、おススメです。どちらもkindle版、有。

 

【📖ひりつく夜の音/小野寺史宜📖】

大人の男は、なかなか泣かない。では、なぜ下田保幸(47) は、ひとりで涙を流しているのか? 元、いや現役のクラリネット奏者、年収はパート並だが狭小住宅所有。スーパーの安売りと朝食海賊が数少ない楽しみで、一心同体だったはずのクラリネットに触ることはほとんどない。でも――。その夜の警察からの電話が彼の記憶を揺さぶる。もしかして――。すべてをあきらめていた男が、もう一度人生を取り戻すまで。その一年間の全記録。

小野寺作品の恐ろしい読みやすさ!!

これは音楽をやっていた人間であれば、本当によく解かる話だった。逆に言うと、そのいい加減さ等はわけがわからないかもしれないけれど、音楽で繋がっていた人間は多少の人間性(と言いましょうか生き方の不器用さ)に問題があったとしても志すところは一緒なので、少しまた別の次元で繋がっていて、それを生業としていくには色んな思いもして…とやめてしまった、諦めてしまったところからの再スタートはとてもよく響きました。こちらの作品と共に

今年刊行となった「夜の側にたつ」という話があるのですが、ちょっとだけリンクしていて、こちらは少しサスペンス要素があるのですが、これはこれでまた良いです、エモいです。どちらにも銀座の喫茶店「銀」が出てきたりするので、関連性やすれ違ってるのかもなぁと思いを馳せると楽しめます❤

 

【📖ゆずこの形見/伊藤たかみ📖】

妻が出張先のホテルで死んだ。実は男との浮気旅行だった。幼い息子と土産の冷凍カニを残された夫は、妻の本心を探るため、不倫相手に会いにいく。各紙で絶賛された、芥川賞作家の最高傑作! 

太一と息子は、食べていくことでゆずこの死を受け入れていく。
これは「文学」の言葉であるという稀有な感触をもった傑作だ----田中和生氏(毎日新聞)

奥さんが別の男と過ごした先で亡くなったのに、日々を坦々と過ごしながら、残されたわが子と生前には見る顔のなかったあれやこれにきちんと折り合いをつけていく様が広い意味での愛情に感じられてとても良かったです💓これに収録されている夢見入門という話も色々があって今があるんけだど、なんかそれでも生きてるんだよね、な素っ気無さにイキイキとした日々が裏付けられていて、なんか、よいのです💓

坦々とした、あまり動きのない日常が、逆にねw伊藤たかみさんは文章が上手。人の心の動きにも多くの赦しがあって好き。

 

【📖ばかもの/絲山秋子📖】

高崎で気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上女性・額子に夢中だ。だが突然、結婚を決意した彼女に捨てられてしまう。何とか大学を卒業し就職するが、ヒデはいつしかアルコール依存症になり、周囲から孤立。一方、額子も不慮の事故で大怪我を負い、離婚を経験する。全てを喪失し絶望の果て、男女は再会する。長い歳月を経て、ようやく二人にも静謐な時間が流れはじめる。傑作恋愛長編。

 テンポが命の絲山作品。こちら、もう文庫がないのでkindle版にてすぐにお読み頂けます。全く読めない流れながら、その中に、人の持つ痛みがとても上手に織り込まれており、最後、苦い。そもそも恋愛小説苦手なのですよ。。他人の恋愛も、何か考えさせるテーマがないと読んでいるのが苦痛ですが、これはもう、苦い。

映画『100円の恋』が良かったと思う方はこちらを読まれると似通った苦さがある作品なので共感頂けるかと。

 

と、一気に沢山紹介したので、またその他も載せていきたいと思います💓

🎥🎬『チェイサー』

韓国映画の「チェイサー」を観たのでレビュー。

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■解説

10か月に21人を殺害した疑いで逮捕された、韓国で“殺人機械”と言われた連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件をベースにした衝撃のクライム・サスペンス。狂気のシリアルキラーをたった一人で追う元刑事の追走劇が、緊迫感あふれるダイナミックかつハイスピードな展開で描かれる。長編初監督の新鋭ナ・ホンジンのもと、連続殺人鬼役のハ・ジョンウと、元刑事役のキム・ユンソクが圧倒的な演技を披露。事件を追う過程で垣間見える人間の心の闇に戦慄(せんりつ)する。

■あらすじ

デリヘルを経営する元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)のところから女たちが相次いで失踪(しっそう)して、ときを同じくして街では連続猟奇殺人事件が発生する。ジュンホは女たちが残した携帯電話の番号から客の一人ヨンミン(ハ・ジョンウ)にたどり着く。ヨンミンはあっけなく逮捕されて自供するが、証拠不十分で再び街に放たれてしまい……。

シネマトゥデイ

 

ハリウッドリメイクもされたこの映画。

とにかく近頃の韓国映画に外れナシ!

そう思える様な引き込み感がある!!

 

ハリウッドはどんどんと映像技術が進み、映像で誤魔化される

そうした云々を感じるものの、韓国映画は内容が全て!

 

そんな印象を受けます。

 

実際にあった事件をモデルとして構成されているこの話。

映画の中のユ・ヨンチョルも、なよっとして

『そんな感じで殺人なんかできるの!?』

ですが、実際の犯人も死刑宣告うけていても

イケメンだからファンクラブ~!が出来ちゃったりしており

 

「よく考えろ。こいつのやった事、こういう事だぞ」

さえも感じる、犯罪のリアリティ。

 

観る側を大きく裏切る犯罪現場の理想と現実。

巻き込まれたら、最後。

 

うわーっっっっ!と目を背けたくなる様なシーンも

盛り込んで、さっさと捕まえてください、めっちゃ怖いわ!

 

とシッコちびりそうな二時間です。

そんだけ引き込むし、出来が良い。

 

そしてここでは、韓国映画お決まりの!

〇逃走時スライディング

〇雨描写

も展開されますww

 

個人的持論として『雨描写の美しい映画は面白い』

『逃走時スライディングは期待できる』

この二つをどちらもクリア。

 

この二つを難なくクリアしているのが

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「記憶の夜」ですwwこらちもおススメです。

 

さて。

映画はネタバレせずに、話を進めたい!

ネタバレも何も、犯罪現場をテーマにしたものだから

観て頂いた方が早い!w

 

ので、実際の事件について触れたいな、と。

 

映画では、ただ単に『サイコパス』的に描かれていますし

兄夫婦も登場。するのですが……

 

実際のところは、彼のお父ちゃんが戦争から戻ってきて

PTSDからか父悩まされ息子に暴力三昧

そんな中で育ってしまって

後天的なモンスターに仕上がってしまった感もあるので

ソシオパス気質なのではないか、と。

 

因みに実際のお兄ちゃんは早い段階で自殺なさってます。

(ので、映画の方は脚色となる。)

 

もうあんな家庭に生まれちゃって、親父はああだし

兄貴は死ぬし、あーやだ!もーやだ!

な日常にも妻と子が出来て順風満帆にみえるも

未成年に手を出してとっつかまり、そこからこのように…。

奥さんと息子さんの事だけは溺愛していたようで。

 

奥さんもまた、過去には風俗で働かれていた方だった

らしいのでそういう意味では女性に対してより、

その職業に対する嫌悪感があったのかもしれないが……

 

んな事憎んでも、過去は変えられんだろうが!というところ。

ある意味、偏った愛に熱い。

(奥様と同じ名前を名乗っている方に対しては他の

被害者の方よりも遺体損傷が酷かったらしいので

お前みたいなもんが神聖な彼女の名を汚すな!みたいな

とこかもしれんな、と。)

 

一部では女性に対する嫌悪感と推測されていましたが

女性ではなく愛する人の過去を塗り替えるべく!と

いう事とその職業さえなければ彼女が汚されなかったと

する直接的な考え方による物ではないかと

私は考えております。

 

他人は自分の為に死んでもよい。

それなのに、息子の事(と奥様の事)となると

転んでもおおごとになりそうなその状態。

 

(とはいえ、快楽のみの殺人だけではなく、漢方として

殺して食ってたらしいので

「父ちゃんお前の為に健康でいるるからね!」

って事なんだろうか…)

 

映画の中でも披露されておりましたが

絵はなかなかにお上手らしく、現場も絵日記的に

残されていた模様。

 

死刑判決も下っておりますが、韓国は宣告はうけても

執行がなされない国なので、無期懲役でしょうねぇ。。

 

ぞっとする様な恐ろしさのある映画ですが

これが現実で……と思うと人にも色んな種類があり

大変興味深く、追って追われて、早く何とかして!

捕まえて!と手に汗握る、そんな映画でした。

 

関係ないですが、この映画の元刑事であり風俗元締め役の

キムユンソクさん。

ロバートの秋山と赤井英和を足した様なお顔の方ですが。

 

彼の出ている『あなた、そこにいてくれますか

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恋愛映画のなかでも私の中の上位を占めます。

のでこちらもおススメ💓

 

以上、長々とぉ。

PCで更新しておりますのでスマホからご覧になると

段落が非常に落ち着かない仕上がりとなっているかも

しれませんが、何卒、ご了承を!!

📖『夫のちんぽが入らない』こだま+もう一冊!📖

まずはこの本。

タイトルが凄い。

『夫のちんぽが入らない』

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いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあることですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひっそりと生きていくことを選んだ。(本文より抜粋)

 

 

■エロばかりを優先して手に取るとしっぺ返し。 

人には色んな出会いがあり、それぞれの愛のカタチがある。

ただ、この本の内容は確かにタイトルからして『性交渉』を

テーマとして描かれているが、こだまさんのこの著書に限っては

そこだけではない。

 

むしろ、その部分こそが添え物である、と言った雰囲気に

仕上がっている。

 

実際に入らないのだから仕方ない。

入るか入らないかの問題ではなく、入る事が当然とされる

その行為で犠牲になる人の気持ちというのもある。

 

それさえ出来ない自分、愛する人さえ受け入れられない自分、

そこで人は葛藤する。自尊心なんて地の果て。

人が出来る事が自分には出来ない、そこに伴うものは。

A.「私なんか」になりやすい。

 

そこでこだまさんはひとつの答えを見つけるのだ。

それを隠して生きる事や、言い出せない周囲からもたらされる状態、

『果たして人と違うという事は、恥じるべき事なのだろうか』と。

 

その頃、教職に就かれていた事、そんな中で

色んな個性のある子に出会われる。

読んでいて辛くなる様な教育者としての日々もあるのだが

常日頃感じておられる『色んなタイプ』『十人十色』の感覚が

教育者として、現場で子供たちと向き合う上で

必要な感情であるな、と。

 

何かに真剣に悩む事も、無駄ではない。

誰にも理解されなくても、それはそれで人を養う。

悩みが色々と功を奏していく状態は快進撃に近い。

 

同時に、教育現場に就くという事の難しさ、

教育者も一人の人間である、という事を教えてくれる

素晴らしい本であった。

 

何より教育者である立場として、こういったタイプの

プライベートな事を公表なさる事はタブー視されがちだが

それこそが

『こうあるべき』の型にはまっているではないか!

 

色んな形があって良い。

恋愛も生き方も、自由があって良いではないか。

その人生はその人にしか生きられない。

それって素晴らしい事で、自分の人生を恥としたら

誰がその生を歓迎してあげるのよって話で。

 

その後、大病を患われているらしく病名はお出しになって

いませんでしたが、同じ症状の病を訴えられる難病の方を

何人か知っているので、お大事になさって頂きたいな、と。

 

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない

 

 この本の中でひとつだけ残念に感じた事がある。

 

ただ、一点。

こだまさんは、同じような方がいないかを必死になって

探される場面がある。

 

でもそんな状態の方は発見できず終いであった。

 

今回のこの著書で「そういう人間もいる」と世に知らしめた

わけだけど、個人的にはそういう方も確実に存在なさると

思うので、夫婦間で子を持つ・持たないにかかわらず

医学的に解明しておいて欲しかったな、と思うところ。

 

与えられないのであれば、与える側に周る、など

その時にはそんな余裕も持てなかったのかもしれないが

そこはとても残念な部分だな…と思いました。

 

そういう方の希望の星になるっていうのも、ひとつの

在り方かな。

 

===

 

さてここからは、この問題に関する話。

 

特定の人の物が入らない、と言った状態は聞いた事がないが

はるか昔、そうなりかけて、性交渉を拒んだ方がいた。

 

その方は妻子もおられたので、女性側からすると

与えられる甘い言葉も『遊び』の範疇だと思っていた。

 

が、なかなか、そうなりそうで、そうならない。

その展開が、甚だ気になった。

 

妻子もいる、甘い言葉は発する、そのくせ手は出してこない!

愛に飢えてんのか?お前のとこ、ひどい状態なのか?

……と色々考えたりもしたが、どうやらそうでもないらしい。

 

私に一体何をお求めで!

 

そんな状態で過ぎていったある日、私は一言

『何があっても手ぇ出してこないなんて、真面目っすねw』

(上司だったので↑)

 

と言ってみたら、自分の物に自信がない、見せられない

と仰った。私はそれを"小さい"という意味で捉え

「えー見せて!見せて!」

なんて若さ特有のバカっぽさでワァワァ言っていたら

笑わないか、他言しないか、と尋ねられた。

 

既にいま、こうしてブログで全世界に発信している事を

許して頂きたいのだが、どうやら、ある種の奇形であった様で

見せて頂き絶句してしまい、そこから何故かちんぽを励ます

という状態になったのを思い出す。

 

心はとても優しい方であった。

奥さんがあなたで良いとされたのも理解できるし

体外受精であったのだとしても可愛い子にも恵まれて…

そんな方を隣においてよそで甘い言葉売るなんて

お前は何を考えてるんだ、ふざけんな、となって

結果的に、この腐れちんぽ!外道すぎんだろ!

となった訳だがww(結局、ひどいw)

 

そういう方もいらっしゃるので

著書を読んで、個人的にはそんなに驚きはなかった。

 

ちんぽだけにテンポよく、軽いタッチで壮絶な事態を

描く、この感じがあの著書の素晴らしいところです。

 

ついで、もう一冊。

『ここは、おしまいの地』

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こだまさんの二作目となるのですが、こちらも続けて

読みました。

 

こだまさんがちんぽの入らない結婚生活に至るまでと

これからを描かれた作品です。

 

やっぱり「入らない」を読んでからこちらへ移行した方が

「入らない」問題があってこそ理解できる云々もあり…。

 

ですので、入らない方を先にお読みになる方がベストかと。

 

こちらも軽快なタッチで家族や生まれ育った土地への

気持ちが綴られております。

 

が、短編集だから仕方がないのか、文のくくり方が

一辺倒になりやすく、それをすると、ページをめくる手が

とまりがちになってしまう、という。

 

(いえ、こだまさんの心の在り方や考え方は好きなのですよ!

ここは惜しいなぁと思うところなのです。

ってお前何目線なんだよ!おこがましいわ!って話なんだけど)

 

基本的に飛ばし読みをするのが嫌いなんですね。

どうせ読むのなら、汲み取れそうにない全てまでを汲み取りたい!

何故なら描かれた方は一生懸命取り組まれているのだから!

 

そういった私の勝手な熱さから感じる事です。

ので、よそ様は楽しまれるには違いない!

 

そもそも二冊をいっぺんに購入してしまえば

レジでの恥ずかしさは薄れる戦法です。(ここ推し)

 

 

ここは、おしまいの地

ここは、おしまいの地

 

 

 

タイトルが恥ずかしいという方もおられましょう。

私は全く気にしないですが。

 

なんなら平気な顔で、加藤鷹の「エリートセックス」も

購入しましたが。

 

エリートセックス (幻冬舎新書)

エリートセックス (幻冬舎新書)

 

 舟を編むでお馴染みの三浦しをんさんも推しておられました。

結構真面目な本なのですよw

だいたいあんまり不真面目な気持ちで本なんか書けなひw

 

人は色んな気持ちを抱いて、道を歩むもので

何がいいとか悪いとか、そんなものに囚われず

自分も相手も気持ちよい関係であれば

肉体まで無理やりつながる必要はない、

個性を尊重、言論も尊重、

赦しを持ってなんぼです💓

 

こだまさんの二冊、とても読みやすくて良かったですよ!

📖漫画📖『ミスミソウ完全版』押切蓮介著

映画『ミスミソウ』が公開された事により

普段、漫画は読まないのですが

読んだのでそちらの方のレビューとなります。

※映画はまだ拝見致しておりません。

 

とりあえず映画のポスター。

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映画での原作再現率の高さが話題と

なっていたのであらすじも映画側の

引用で。

 

ハイスコアガール」「でろでろ」などで知られる押切蓮介の人気サスペンスコミックを、「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督のメガホンにより実写映画化。東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。主人公の春花役を本作が初主演となる「咲 Saki」の山田杏奈が演じる。

ミスミソウ : 作品情報 - 映画.com

 

都会から田舎に越して来ただけでいじめにあう。

それは家族をも巻き込んで、どんどんエスカレート!

怒り狂った主人公は復讐を誓う!

 

というリベンジ物の単純明快なストーリー。

 

ところがここで賛否両論が巻き起こるであろうと予測。

 

教えてあげましょう、田舎の恐ろしさを。

 

そんな事あるわけないじゃんw

都会から来ただけで?同じ日本なのに??

 

今までの私なら、いやちょっと無理あるだろう~w

と笑ってしまうところですが。

 

これは生半可な田舎に属すると解らない日本の闇の部分です。本気の田舎はまさしくこれ、そのもの。

 

そもそも「村八分」という言葉がある程の事です。

村八分」…この場合、火事と葬儀の二つは除くという

意味があります。(10-2=8の"八分")

滅多に耳にする事はないでしょうが「村十分」

いう言葉も存在するんです。

 

昨年、同じ様に移住してこられた私のお友達は

この「村十分」にあい、もう耐えられない!となって

東京へ逃げ帰られました。。。

私の、大切な、大好きな、お友達。

ちょっとした事件が発端でそういう結末を迎えてしまいました。

一緒に闘いましたが、それさえなかった事になっており

街は今日も平和です。

追い出した、という事実しか、残らなかった。

その原因となった問題は今では完全に"なかった事"となりました。

それは正直、これから先に死人が出てもおかしくない様な

犯罪行為と呼べる物でした。

 

友達はそれを放っておく事も、見て見ぬフリも出来なかった。

誰にとっても良いとは言えない、そういう問題が目の前にあったからです。

だから友達が声に出してそれを叫んだ。

彼女の行いは正しいと呼べるものでした。

だから私も賛同した。

 

友達は我が家の長女と同じクラスに子を持つお母さんでしたが

この問題のせいで村十分に遭い、子は登校拒否へ。

(…というよりも周囲により通えない状況へ持ち込まれた)

 

そういう現実を見たことも経験したことも感じたことも

なかったとしたら、この話は「アホくさぁ~!」に

なるわけですね。

 

その「村八分」ですが、火事と葬儀は除くってとこに

ポイントがあります。火事は自分のところも燃える率が

高くなるので仕方がないけど協力します、ってやつです。

 

後、村八分でも葬儀は呼んでやる、もしくは葬儀出すなら

協力します、この枕詞にはそれぞれに「不本意だが」が

付随します。

 

むしろ葬儀は知らない人でも来てくれると有難いのが

田舎。私にはその感覚が全く理解出来ませんが

"故人は生前沢山の人に親しまれた"という可視化が出来れば

世間体として良い=集まれば集まるほど良い

 

なんなんだ、死人は客寄せパンダかなんかなのか

 

とつっこみたくなる状態です。

ついでに、ムラハチでも葬儀に参列するとなると

香典を包むことが礼儀となりますので……

 

言いたいことは解りますね??

 

「お前、ムラハチでも呼んでやったんだから

よそと同じ程度の額じゃ話にならんだろぉお」

という無言の圧力炸裂です。

 

生前故人にあった事があろうがなかろうが、です。

ムラジュウになりたくなかったら、して当然のやって当然。

子供なんかいたら地獄ですよ。

自分一人ならどんな目に遭おうが知ったこっちゃないけど

責任の単位は家族にあるとするのが田舎ですからねぇ。

 

この村八分、裏を返せば

それ以外の事は何があろうが知りません。

どんな事が起きても私たちは関係ありません。

その原因が何であっても私たちには関係のない事ですし

田舎の関係性はそうして保たれてきたのです。

文句があるなら入ってくるな。

そういう事なのですよ。

 

映画をご覧になった方のレビューに

"中学生や高校生が警察や教師の目をかいくぐって

あそこまでできるなんていう事自体がもう

現実味がなくて笑ってしまった"

と書いてありましたが、よくお考え下さい。

 

その中学生や高校生は誰に育てられ

どの様な土地に根付いているか、という事です。

隠ぺいはお手の物ですよ?w

 

村八分になる原因は

そのやり方に賛同できないと声高に叫ぶ

等があります。

 

悪いことは悪く、それなりに裁かれるべきだ

それが今後の個人の人生を助けていく事に

なるのではないか、等と言う極めてまともな意見も

「意見した」「ここのやり方を否定した」

となり、ムラハチ、もしくはムラジュウ、という

烙印を押されます。

ひどい場合は、死者が出ようが何しようが

何も無かったことにできる、それが

"素晴らしい田舎ならではの結束力"

だと言えましょう。

 

言論統制と弾圧、同調圧力により

"あった事もなかったとしてしまえる大人たちが育んだ子供"

の物語であるので、読んだときにはゾッとしました。

 

田舎のリアルをよく描けているな、と。

 

※それもあってひとつ前の記事には「ボラード病」という

ディストピア小説を紹介したのです(*´з`)

 

私はこの地で何を言っても個人的にどう思われていても

そこまでやり込められる事はない立場にあると思います。

歓迎はされてはいないですけどね。

 

私の里はここではないとしても、主人の里へ嫁いだと

いう形ですからw

 

でも友達は違う。

なんのバックアップも持たなかった。

同じ動きをしても、私にそこまで火の粉が

飛ばなかったのはそういった理由からだと

私自身、感じています。

 

 

さて、当の漫画の内容はと言いますと…

 

復讐したところで何も元には戻らないと解りつつ

それでも自失の中、自分にできる事を模索する様な

部分は

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に似て

自身に五感が戻るその日まで

といった感じで、破壊しまくります。やりきります。

 

なので、これを完全実写化となると

相当エグイ!グロい!

に違いないんですが、色んな角度から考えても

"しゃーない!それしか多分、方法ない!"

に落ち着きますww

 

そもそもこの子が悪いわけではないので

結果的には何の救いもないですが…。

 

(復讐による殺人は悪いですが善い行いをしたところで

冤罪さえも被せてくるのが田舎の恐ろしさってやつだし

その現実からは逃れられない)

 

ハッキリ言って

スローライフなんて嘘!そんなもんねーよ!

地価の安さやら人の温もりなんて求めてたどり着くような

場所ではない、それが田舎ってもんなんだよ!

です。

 

私ですか?

緑は好きですが田舎のやり方は大嫌いです。

同調圧力言論統制も嫌いです。

 

漫画の中にあるのです。

『この街には娯楽ってもんがないからなー』

ほんとにそれです。

 

娯楽がないとなると、楽しみは何か、その対象物は常に

人間となるわけですね。

個人の在り方を上げたり下げたりしながら楽しむ。

興味や対象は常に人間。

早い話、クソですwww

 

人の目を常に意識して、人に突っ込まれない様に

常に無難を目指して頑張り、やれ公務員は立派!

とか言ってりゃいいのです。

 

公務員は神、なんて考え方が通用し

「あそこの子、公務員になったんだって」

「たいした事ないくせに…」

等と結局は嫉妬しか出ない様な円陣を組み

輪をかけて、思ってもいない『立派ねぇ』の

言葉に囲まれて生きてりゃいいのです。

 

私はそんな輪に入る気も浸る気もないし

好きにやってくれや、緑は今日も美しいな

というスタンスなので、現地に友は作りませんww

 

『東京かえれ、バ~カ!』

なんなんだ、このセリフ…と漫画を読んで思いましたが

実際そのセリフ去年聞いたわ!!

って事に驚きを隠せません。

 

漫画ではボーガンなんかも出てきて、なんでそんな物

持ってんだよ、普通、家にねーだろ…な部分ですが

田舎には『猟師』という物もおりまして

ある家には散弾銃も普通に納屋に置いてあります。

 

緑は素敵なこの地に私が望むものは本屋でも映画館でも

ゲームセンターでも何でもいいので子供たちの

少しのストレス発散の場を作ってやってほしい。

 

自分の子は本当に正しい事をしているかどうかと

少しは疑いの目も向けてほしい

田舎に対して思うのはそういう部分です。

 

どっちにしろぬくぬくしてる様なとこでは無理か!w

親である人間もこの地から出た事がないんだから

ここのやり方が皆正しいんだもんな!w

そんなもんはいじめられる側が悪くて、

嫌ならさっさと出てけや!って事なんだもんな!w

 

以上、田舎における恐ろしさはよく描けているなと

感じました。映画が楽しみです❤

 

この『田舎の恐ろしさ』が予め理解できていないと

なんの迫害wwこんなん現実ではないない!となって

楽しめないので、予習しておいて頂けると存分に楽しめるか

と思いますょ。

 

漫画版はこちら。

 

なんと小説版もあるのですよ!

小説 ミスミソウ (双葉文庫)

小説 ミスミソウ (双葉文庫)

 

📖本📖『ボラード病』ー吉村萬壱著

本日はこの本について❤

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これな~!!!

 

いや、吉村さんこれ本当によく書かれたと思うよっっ。

 

ブックメーターの評価凄いのも頷ける。

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レビューが370件も入ってて100%の五つ星を叩き出す結果に。

 

あらすじですが。

 

生れ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結び合い、「海塚讃歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らすことができる故郷―。密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。

 

 

主人公、大栗恭子ちゃん(当時小学校五年生)の当時の

B県にある海塚市で暮らした日々の回想から始まります。

 

まるで小学生の書く作文を読んでいるような気分で

ページをめくる事になりますが、そこに描かれた

そこから感じられる物の音、景色、匂いなどは

大変リアル、それなのに……。

 

何故でしょうか、確かにその文章には五感に訴えかける

様々が記されているのに、そこは何の音もせず

とても無機質に響きます。

なんの温もりもない、空虚さ。

 

その不穏感をどんどん募らせたままひたすらに

ページが進んでいき、最終章。

 

最終章では現在の年齢の大栗恭子さんが語りべを

受け継ぎます。

その!終わり方!

 

「え!!」

 

となりますwww

 

私はハードカバーの方を所持しているので

文庫サイズの方の終わりは存じ上げませんが

たいていの賞受賞作品には「あとがき」などが

付けられるところ、この本に至っては

「え!!」のまま、何の説明も補足もなく

終わっています。

 

ウヒョー!!!ってなるやつwww

 

賛否両論ありそうかな、と言う内容ですが

これに対し物申す事自体が「言論統制と弾圧」であり

"ディストピア小説のテーマとはそういう物だ"

となってしまうわけですね。

 

すごい。

現実と照らし合わせて考えてしまう方がいたら確実に

『不謹慎な内容だ!』『風評被害になり兼ねない』

と言い出すところですが、あくまでB県の海塚は架空の街

ただ似たような部分が現実に横たわっているというだけで。

 

ここは素晴らしい場所!だとか、上辺の美しさに

魅了された時代は終わり、世界のどこにいても

内部事情を垂れ流すSNSで事態を把握できる世の中に

なってしまった以上、誰もそんな上辺だけの

作りこまれた美しさに見向きもしなくなってしまいました。

(でもね、美しい物のすべてが綺麗ごとかと言うと

そうでもないんですよw

美しいから嘘に違いない、こういうのは受け付けないって

いう最近の物の見方には、私は少々の違和感を感じます。

全く本とは関係のない個人的見解ですがw

経験したからこそ掬える上澄みの部分だけを魅せるという

美学も存在するわけでして。)

 

 

そういう時代だからこそ、余計に、この展開は

面白い。

まず誰も描かないであろう、無駄に刺激する事のないように、

そうした風潮の中から打ち破られたディストピア展開って

誰も考えつかなったであろうし、凄いな、さすが作家だな~!

と思いましたw

 

面白いです。超おススメ致します。

ページ数もそんなに多くないので早い方なら三時間もあれば

読めてしまうと思います。

 

最後「こっわぁぁぁあ!」って言ってほしいww

それ、聞きたいですw

 

ハード版の表紙も、もう怖い。

ボラード病

ボラード病

 

 こちらは文庫ver

ボラード病 (文春文庫)

ボラード病 (文春文庫)

 

 本棚にあうお好きなサイズをどうぞ❤❤

 

 

 

📖本📖『侍女の物語』マーガレット・アトウッド著

※PCにて更新しておりますのでスマホ等別端末でお読みになると

段落に影響が出るかもしれませんがお許し下さい。※

 

先日ツイキャスでこのお話をしたんですが、録画を残しておりませんので

ブログでまとめておきたいと思います❤

 

数々の賞を総舐めにしているこの本のドラマ化がhuluにて配信され

始めたのでこの本の話。ドラマのタイトルはこの本の原題である

【ハンドメイズテイル】

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えぇ、私の得意ジャンルのディストピアです。

因みに私は映画でいうところのパニック映画大好きなんですが

(映画では描きやすいのか滅亡系やら災害系のディストピアが多いので)

こちらはそういう滅亡系のディストピアではなく、人が人に及ぼす地獄

"性と生のディストピア" !

 

実はこの話、一度映画化されていますがそちらよりやっぱり忠実なのは

時間がたっぷりとれるドラマでしょう!

映画の方の音楽を担当していたのは、なんと、坂本龍一氏です。

※個人的に映画の方はあまりお勧め致しません。

そもそもあの話はたいぶ端折らないと映画サイズでは無理かと!

 

さて本題。以下、wikiより。

■作品世界

舞台であるギレアデ共和国は、近未来のアメリカキリスト教原理主義勢力によって誕生した宗教国家である。有色人種ユダヤ人を迫害し他の宗派も認めない。内戦状態にあり国民は制服の着用を義務づけられ監視され逆らえば即座に処刑、あるいは汚染地帯にある収容所送りが待ちうけている。生活環境汚染原発事故、遺伝子実験などの影響で出生率が低下し、数少ない健康な女性はただ子供を産むための道具として、支配者層である司令官たちに仕える「侍女」となるように決められている。

 

■あらすじ

侍女であるオブフレッドは、恐怖と絶望に耐えながら従順を装いつつ生きていた。情報から隔絶され常に監視の目を意識しながら司令官に仕えていたが、ある日こっそりと司令官は人間として自分に接するように求めてくる。一方、司令官の妻は夫に授精能力がないことを看破し、夫婦付の運転手ニックと交わり妊娠するようにオブフレッドに密かに命ずる。

 

だらだらと内容を書くのも好きではないのでw

簡単に引用で終了致しましたが、この辺りは既にhuluで

配信中のドラマの第五話で終わっています。

 

本の方では、有色人種の迫害というのが正しいのですが、ドラマ側では

主役ジューン(侍女名:オブフレッド)のとっつかまってしまう前からの

友であるモイラ役はサミラウィレイさんが演じてらっしゃいます。

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超簡単に説明すると…

普通に生活していたら

「明日から法律でこうなったから!」と宣言され、とっつかまってしまい

えらい人の家に配属されて性奴隷みたいな日々を強いられ、

子供産めないなら用事ないから死んでね!!

そういう事です。なんという趣味の悪い話なんだ、変態か!

と思いきや、これが本当のキリスト教原理主義

私なんかはもう子宮摘出してしまっているので、この世界だと用なしの

即処刑組ですww

 

創世記三十章1-3節に基づくと、そうなっているのです。

書いた奴が悪い!wwwと思う、私はスーパー無神論者。

 

しかしディストピア物の面白さとはそこにあると思うんです。

絶望しかない時に死を選ぶか、なんとかして這い上がるか。

助け合うか、それとも蹴落とすか。何が自分の助けになるか。

何が誰を生かすのか。

 

 

テーマとしては非常に趣味が悪い上に、ドラマ版の方はなかなか

忠実に再現されているのでもうね…胃が痛いわ、何これ!みたいな

超絶苦しい時間が続く…。

 

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本とドラマの違いと言えば、

 

お偉いさんの奥様方の洋服は「水色」

お手伝いさんは「緑」侍女たちは「赤」

 

ドラマ

お偉いさんの奥様方の洋服は「鮮明な緑」

お手伝いさんは「グレーがかった緑」侍女たちは「赤」

 

でしょうか。後は有色人種を避けていないところ。

その他、本の方のニックはどう想像してもウォーンキングデッドの

ダリルでお馴染み、ノーマンリーダスしか想像できない!というところ。

本の方では観光客として日本人御一行が訪れて、侍女たちを好奇の目で

見つめ、写真撮らせてくださーい❤なんてシーンもあるんですが。

その自由さ、足を出してサンダルを履いて靴の先から見えるペディキュア。

以前はそうだった自分達は

今では帽子のブリムで顔を見せる事さえ、誰かとの会話さえ

許されていない、そんな日々を過ごす事になってしまった彼女達に

とってみると『あなた達はそれで幸せなの?』と

尋ねられている様な気がしてただただ首を横に振る

というシーンがあったりします。

 

ドラマの方だと配信が毎週水曜に一話ずつ追加されるので

まだまだ途中ですがとりあえずやっぱり趣味が悪いw

 

何故いまになってこれなのか、と気になる部分ではありますが

トランプ政権に移行してから、ちょっとお辛いのかな…だとか

色々と思ったり。。。

 

しかしですね。

全ての人間が『この世界が悪い!』なんて大きなところに

目を向けるはずもないので、各々個人単位で「ああ、わかる!」と

感じる部分が多いというところに目を向けるとこのドラマが流行る理由が

よく解かるのです。

 

私予想としては

海外でよりも実は日本の方が流行るであろう

と予想。

 

何故って、なんかどっか日本の田舎の古い風習を引きずった様な

亭主関白な家に嫁いだ場合に起こり得る現象そのものだからです!

 

子供を持たなかったら姑が口うるさいだとか、周囲がうるさい、だとか

主婦とは!みたいな肩書を背負わされてしまい独身時代のその方の

在り方なんかは無かった事として扱われ、自由も肩書も剥奪、

愛のないセックスの強要、等々。

結婚生活に広がる小さな単位のディストピアを広域で描きました!

そんな気がするのです。

 

だから日本では流行るだろうなぁ、と。

 

ですのでおススメ致しておきます❤❤

どうなっていく等はネタバレするので書かないでおきます。

 世界観やそこにある感情などを各自お楽しみ下さい❤

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)