映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

映画『15時17分、パリ行き』

現在公開中の為、ネタバレありとなしを途中でわけます❤

 

まずはネタバレなしから。

 

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2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。

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以上があらすじです。

 

これからご覧になる方が知っておいた方が良い情報としては

 

■2015年に起きたタリス銃乱射事件を基に制作された映画である。

■実際にその時闘った英雄米兵と友達という構成の三人と

乗り合わせていた乗客がキャスティングされている事。

■監督がクリント・イーストウッドである。

 

という完全再現V状態で撮られております。

(映画の脚本構成上、少々の脚色はあります。)

 

上記三点さえ念頭に置いておけばこの話が映画化された事にも

納得行くかと。

 

これ、知ると知らないではえらい違いですw

 

知らずに観てしまうと、え、どういう事?

今になってクリント・イーストウッドはどうして

『それいけズッコケ三人組』をハリウッドでやろうと思ったの?

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

 

 と、イーストウッド氏をただのボケ老人扱いし兼ねませんww

 

それでは素敵な旅を♪♪

タリス鉄道アムステルダム発パリ行き、発車致します🚅

 

=================【ここからネタバレ】=================

アムステルダム発パリ行き、発車致します。閉まるドアにご注意ください。

乗車券がまだの方はご乗車頂けません。

 

何でしょうか……

とにかくよくやったな、の一言に尽きます。

 

実際のメンバーで実際の回想って、その時には瞬間的にその動きが出来ても

時間がたってよくよく考えてみると、幾ら米兵さんと言えど

しっこちびりそうな話ですよね。。

 

よくある若者の普通の日常から誰にでも訪れるかもしれない

危機的状況までをリアルに描き切り、実際にあの場にいたら

自分には何が出来ただろう、と考えさせられる様な

前半ののんびり感から打って変わっての感動迄!

 

 私がイーストウッド作品で思う事は、あの人は

現代社会で過去の遺産となろうとしている人としての尊厳」や

「友情」「人間同士のコミュニケーション」に力を注いでいるなぁと

思うのですが。

映画製作にあたり、誰もが心温まり、何者も糾弾しない映画製作を!

そういう事を自分の中に置いておられるのかなぁ、と。

 

映画の中で一部端折ってしまわれていた部分に今作の赦しの真髄を

感じました。

 

この事件、確かに犯人の銃の調子が宜しくなかったという事もありますが

問題は『乗務員が乗客皆殺し覚悟で乗務員室に閉じこもり鍵をかけた』

いう部分です。

 

当然、三人がいなかったら、銃が不発だったとしても自分の命さえ

捨ててこそのイスラム過激派、持っていた小刀でバッサバッサやったでしょうな。

 

何となくやんわりとそこを指摘したんではないかと思われた部分が

旅の途中で知り合ったリサにした質問。

 

『自分達はフランス向きかどうか』

これは何となくその部分を暗に示した部分だったのではないか、と。

 

さすがにその国の鉄道での出来事なので、件の国民の方々も拝見なさると

思うのです。嫌な気分にさせない描き方は素晴らしいな、と。

老人、流石だね!思いましたわ。

 

あの表彰もきっと

「我が国の民たちよ、彼らを見習え。勇気を捨てるな。希望を持って

立ち向かえ」

みたいな意味もあったのではないか、と。(大統領からの超絶プレッシャーw)

 

落ちこぼれで、なんかっちゃあ呼び出される彼らでしたが

学校教育が全てではなく、時には自分の直感で、自身さえ捨てる様な

勇気があればきっと神は味方してくれるであろう、というメッセージ性も

あるなぁ、と感じました。

(無神論者なので、その辺りは信念を貫けとしておきますがw)

 

しかしちょっとだけ不思議に感じる無神論者。

 

彼は常に平和の為の道具になりたいと寝る前にお願いしていました。

実はその為に事件が用意されたかのように偶発的に起きてしまったのだとしたら…

 

お前乗っとらんかったらその事件起きひんかったんちゃうん!

 変なお願いしたでやろ!

 

等とは思っても口にしてはいけません。

 

何よりも彼らの行動に多大なる称賛を!!

 

それいけズッコケ三人組は大きくなって立派な大人になりましたとさ、

めでたしめでたし(親も喜ぶ)を観たようでとても温かい気持ちになりました。

 

良い映画でしたよ❤❤

映画『殺人の追憶』

しまった!

続きで書こうとしていたのにもかかわらず…

本日なかなか多忙だった為にひとつ前の「カエル少年」を書いて

寝てしまったやないのw

 

カエル少年が韓国三大未解決事件のひとつだったとしたら

一番大きな未解決はやっぱりこれでしょう。

 

殺人の追憶!こちらもNetflixにあります。

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■解説■

実際に起きた未解決連続殺人事件をテーマにした衝撃サスペンス。韓国で560万人を越える動員数を記録。事実を基に綿密に構成された脚本と緊迫感あふれる映像で、犯人を追う刑事たちの焦燥感が身近に迫る。東京国際映画祭アジア映画賞受賞。主役は『シュリ』JSA』で知られる、韓国の名優、ソン・ガンホ。田舎町の少々、愚鈍な刑事を演じるため、体重を10kg増やし役作りした。監督・脚本は『ほえる犬はかまない』のポン・ジュノ

 

1986年10月23日、農村で若い女性の変死体が発見される。地元の刑事パク(ソン・ガンホ)は地道な取り調べを始めるが、現場は大勢の見物人で荒らされ、なかなか証拠がつかめない。やがて、第ニの事件が起きてしまう。

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1980年代に発生し、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を元に

犯人逮捕に至らぬまま時効を迎えたこの事件。

 

カエル少年と比べると映画用に脚色されている部分も多いのですが

タイトルが「追憶」というだけあり、担当刑事の当時の回想~現在と

いう形で話が進行、その為かノスタルジックな描写も多く

犯人逮捕に至らなかった悔しさがよく描かれておりました。

 

ただ、カエル少年にしろ、華城にしろ、手を伸ばせば届きそうな所までは

追いつめているのにそれが時効という壁で適わないヤキモキ感は凄い。。

 

これは映画でありますが現実にあった出来事、という事はそんな事を

しでかしても普通の顔して生活していて街ですれ違ったり、知らずに一緒に

働いてたり、なんなら付き合ったり…という事にもなるのが世の中です。

 

それを考えたら、本当に怖い。

 

ただでさえ強姦殺人なんて物は救いがないのに、そこに猟奇が入ると

もう犯人は死んでいいよ、です。

どの命も大切だとは思いますが、あまりに害がありすぎるのは、ねぇ。

 

この作品の出だし辺りは本当にのんびりした物なのですよ。

警察やる気あんの?とか、あれ、これコメディなんですか、と

突っ込みたくなるようなw(その為後半戦の本気の出し方、白熱!)

 

これにはどうやら事情があるらしく、当時、韓国では殺人等の犯罪があった場合

痴情のもつれだとか、何かきちんとした関係性上でしか犯罪はおこらないもの

と考えられていたらしいですね。

快楽殺人、という言葉が国民に対して広く知れ渡る事になったのは、この華城が

起きてから、と言われています。

 

なのできっと事件発生当時は警察も、この一件で終わるであろう、と悠長に

あの態度なのではないか、と。

 

映画では「雨の日」「赤い服」等のキーワードが出て参りますが実際には

そこに限った話ではありません。この事件に興味がおありの方は

華城(ファソン)事件は終わっていない~担当刑事が綴る「殺人の追憶」~

華城(ファソン)事件は終わっていない~担当刑事が綴る「殺人の追憶」~

 

 こういう本も出ているので、ご一読なされば宜しいのではないか、と。

 

現場から犯人の遺留品としてDNA鑑定がアメリカに提出されるというシーンが

あるのですが、実際に行ったのは日本であり、当時のDNA鑑定はまだまだ

精度の低いものであった、とよく耳にします。

 

しかし、この事件、山中だとか、田んぼだとか、緑ならある!自然ならある!

みたいな場所でガンガンに起きるんですが、現代はそう考えると有難い物ですね。

ブロードバンドで動画配信がなされ、コンビニにいけば性描写のある様な本も

置いている、歓楽街へ行けば風俗もある。

 

人間の性癖なんて先天的にしろ後天的にしろ、資質としてはそう変化はしなくとも

自身においてちょっと異常な性癖があった場合、それに気づいて対処が出来れば

空想だろうと妄想だろうと好きにしてくれ!といった感じですが

そんな時代だと落ちてるエロ雑誌拾うのが精いっぱいであろうし、あんなに

自然豊かなところだと発散する場もなく、そりゃそうなるわ!とも思います。

 

悪だから排除なんて考えは何も生み出さず、必要としている人もいるんだし

俗物としてみなすのであれば嫌な人は顔を背ければよいだけなのでは、と思います。

変態的であろうが、正常であろうが、性欲なんてある一定の年齢に達すると

男女関係なく抱くものであろうし、健全な事なのではないか、と。

 

そういう物を遠ざけられた場合にこういう快楽殺人みたいな物が発生するのでは

と考えます。性加害プログラムでも受けて、矯正されといてくれ!

 

さて。

本作とは関係ある様でない様な話ですが。

 

 殺人の告白、これが日本版リメイクとして

 

 22年目の告白として出されましたね。

これは日本独特の熱しやすくて冷めやすい情報社会もガンガンに取り入れていて

「あぁ~言いそう~。ありそう~w」な感じでなかなか楽しめましたが。

 

この元になった方の殺人の告白の「自分が真犯人です」として名乗りをあげる

その「真犯人」というのが、この捕まらなかった華城事件の真犯人です、と

時効後に出てきてしまい…という内容となっております。

 

カエル少年、華城事件、と続いたら、もうひとつ「あいつの声」で三大事件

なのですが、本日はもう書く元気が残されておりませんw

 

というわけで、後日、また気が向いたら、という事で。

 

殺人の追憶の中で個人的に胸熱く思ったシーンは、グァンホがゲーセンで

ハイパーオリンピックをしている時に定規を使ってた!

 

という事だけは是非書いておきたい、と思いましたw

以上。おやすみなさいませ❤

映画『カエル少年失踪殺人事件』

Netflixにあったので観ました。実話を元にした韓国映画

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ネタバレなしで。

殺人の追憶』として映画化された事件などと並ぶ、韓国の3大未解決事件のひとつを映画化した衝撃のサスペンス映画。1991年、「カエルを捕まえにいく」と言い残し行方不明になった5人の小学生の失踪(しっそう)事件を基に、マスコミや警察が犯人追跡に奔走する様子を描く。監督は、『リターン』のイ・ギュマン。出演は、『私のちいさなピアニスト』のパク・ヨンウ、『シークレット』のリュ・スンリョン、『国家代表!?』のソン・ドンイルなど。良質なサスペンスやスリラーを得意とする韓国映画らしい、背筋の凍るような残虐でミステリアスな展開から目が離せない。

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上記あらすじです。

 

実話を元に描かれた事件なので、面白いとか面白くないという言葉で

表現するのもどうかというところ。

 

韓国三大未解決事件のひとつであるこの事件。

未解決と言われると、何のまとまりもないまま終わってしまいそうですが

"犯人逮捕に至らず時効を迎える"これも未解決に入ります。

ですので、とりあえず映画としてはきちんと終結を迎えておりますので

ご安心を。(Xファイルみたいな曖昧さはない、という意味ですw)

 

愛が為の嘘が全てを翻弄していく

 

この映画はこの一言に尽きるでしょうね。

勿論そればかりではなく、汚い大人の事情等も絡んでくるんですが…

一番大きいのは、愛のある嘘。

 

失踪してから11年後、少年たちの安否が明らかになるのですが

その間に、子の親・マスコミ・警察etc……それぞれにドラマがあり

親である私には親御さんの気持ちが観ていて辛かったです。。

 

しかしこの映画。

音楽とフィルムの感じ、日常の雰囲気がとても良い。

私は映画で「水」が美しく撮られている映画は外れがない!と

思っているのですが(個人的にです。水を印象的に、という描写は難しい気)

 

雨の日の、廂から落ちていく雫の描写は大変美しいものがありました。

しかし、この映画、追悼も込めて制作されているので、上で申し上げた通り

面白いとか面白くない、という言葉で片づける様な内容ではありません。

 

この事件がどうして未解決となったか、その辺りを追う内容として

ご覧になると良いかもしれません。

 

あぁ~これについては書きたい事沢山あるんだけどなぁ~……。

書いてしまうとネタバレになるのでご覧になった方々とだけ

お話できたらなぁ、と思ったり(;'∀')

 

以上、昨晩観た映画の話でありました。

本『駿くん殺人事件、12歳少年の犯罪心理』大沼孝次著 読了。

こんばんは。本日はこちらの本を読み終えましたん。

あまり楽しい話ではないですが…。

 サブタイトルにもある通りですが、少年"たち"となっておりまして。

2003年に起きた長崎での当時四歳の男の子を誘拐し殺害した12歳の少年を

軸として、多感期に起こる少年達の異常性欲に注目したのが本作です。

 

私、こういう本を待っていた。

 

何故かと申しますと。

この本の構成は、この一つの事件だけに焦点をあてられておりません。

ですので、世間を騒がした少年犯罪者(それも異常性欲寄りの)"たち"

が出てきます。

 

彼らが何をしでかしたか、そんな事は最早問題ではないのです。

様々なルポでだいたいはもう理解しているし、そんな事をしったところで

被害にあった方々が戻ってくるわけでもなければ、そこに対し、好奇心もない。

 

私が知りたいのはそこに至るまでの心の闇です。

何が彼らをそうさせたのか、並びに、その様に育てないためには、及び対策法です。

子供を持つ以上、加害者にも被害者にもなり得るわけですから。

 

少年Aこと酒鬼薔薇については親も子もこぞって手記なんか出してますね。

そんな言い訳じみた行為には、一切興味が御座いません。

 

この本をお書きになった大沼さんという方を私は存じ上げませんが

切り口がとても良いです。

 

まず、この駿くんの事件に触れ、その差2歳である少年Aを出し

彼らの共通点と相違点についての考察があります。

 

そこから、次は大人になった異常性欲犯罪者である宮崎勤

登場します。→12歳少年+少年A vs 宮崎勤の共通点と相違点

 

そして、精神障害者と性的倒錯者の起こす犯罪の相違点。

 

ここから、家庭として、親として、学校として、

地域として、社会として、

少年法を司る法(国)として、そして世界として……

 

と幅を持たせて行きます。

 

正直、その辺の育児書に目を通すよりも勉強になったわ。

 

彼らの闇の背後に常について回るのは母の存在。

母との関係性。

 

少年Aの母に至っては、ちょっとしたミュンヒハウゼンなのか?

と思わせる様な状態です。

代理ミュンヒハウゼン症候群 - Wikipedia

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

 

 上記にも登場しますが、この子の為なら命を捨てても惜しくない割に

誰かに責められると「私は母親として立派にやった」と言い返す。

立派にやった!と思っているのは本人のみで、間違っているかもしれない、等と

思い返す事はなかったのだろうか、と。

 

子育てには正解がない分、当人とよく向き合い、話あって、そこで

『自分の考え方だとこの子の将来を潰すかもな…自信ないわぁ…』

だとか、毎日そういう壁にぶちあたる。

それが子育てという物であると思うんですよ。

 

死ねると言った割に、私は悪くない、とわが子一人に罪を背負わすような母。

ほんとに死ねると思うんなら、そうしてしまった事に対して

自分も一緒に頭下げろよ…私やったのに、こんな言われて可哀想!!

私頑張ってるのに!!って言うのは、責任転嫁が酷過ぎる。

 

本書でもここら辺りは指摘されております。

結局、母にとって彼は所有物に過ぎなかった、と。

 

『 虐待・放任・無関心 = 溺愛・過干渉・過保護 ≠ 正しい愛情 』の図。

 

登場する三人とも、貧困でもなければどっちか言うと裕福で、親が躾に厳しく

あなたはこうしなさい、こうであるべき、の理想を押し付ける様なご家庭です。

読んでて怖くなった。完全に毒、子供が真に求める愛を何故感じようとしないのか。

過干渉で過保護である事なんてなんの意味もない。

彼らだって理解されぬ事に対して、疑問や文句のひとつもあったでしょうよ。

 

なんだろう。カレーライスと出されて、カレーが乗ってないものを

「おいしいカレーでしょ(睨)」「…か、母さん、これ、カレー乗ってn(rya」

「今日のカレーは特別おいしいわよね」

と更なる念を被せて押して来そうな、そんな雰囲気さえあります…。

究極のホラーなのか、と。心はいつも、彼らはずっと孤独そう……。

 

本書にはありませんでしたが、個人的に思う事は、この押し付けの行為の

繰り返しで『それを正しい』と学んでしまうのではないかしら、と。

彼らのした事は擁護される物ではないし、はっきり言ってクズですが。

それでもまだ大人になりきる前の事ならば。

その強引な押し付けを繰り返している内にそれが普通となってしまって、

自分よりも弱き者に性的な我を押し付ける、被害者の子が

泣いて喚いてしている姿に

自己投影している部分もあったのかもしれませんね。。。

「これが自分のされてきた事だ。泣け、喚け、血を流せ」

というような。。

何とかしてくれ、恐ろしいょ。手記なんか書いてる場合かと!

 

尚、性的倒錯者の起こす犯罪には、必ず小動物で試してみる事から始まる

と言われているので、もしそれを発見なさった地域の方がいらしたら

警戒すべきかもしれません。

 

この精神障害者と性的倒錯者の起こす犯罪の相違点の項目は個人的にとても

勉強になりました。なるほどなぁ、と。

 

社会復帰の観点から考えるとミーガン法は妥当とは言えないかもしれませんが

解らないからこそ訝しむという事もあると思うので私は賛成です。

どこかが痛いのに病気がわからなかった、釈然としないが為にあれやこれや試し

色んな部分の不具合を疑う、それにも似て、その者が解らないまま暮らしていて

何か起きた場合、何か起きてからなのか?という不安もあるので。

 

加害家族までもが永遠にそれに付き合う羽目になる、と考えると

少々気の毒ではありますが、大抵の家族はそれが冤罪ではない限り

その時点で離散でしょうし。

 

子の親ともなると、加害者にしないよう、被害者にならぬよう、

こういう問題は考えるだけで胃が痛いですが、できる限り本人の意思を

大切にして共に成長して行きたいと思いました。

(言っておきますが私は良い親でも出来た親でも何でもありませんよw

ここから共に成長するのみ、です❤)

 

少年は残酷な弓を射る [DVD]

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 私の好きなエズラ・ミラー!!

彼の眼の妖艶さと言ったら。これこそ、少年犯罪の話ですが、非常に

考えさせれらるものがありました。私は★5つ。

 

時間があればこちらのレビューもまた、ゆっくり♪

長々と(*- -)(*_ _)ペコリ 

本『毒婦。』北原みのり著 読了。

本日3月11日は『コラムの日』らしいです。

というわけで!

たまたま本日読み終わった一冊がコラムニストである北原みのりさんの本だった!

と言うだけなんですが(;'∀')

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

 

 平成の毒婦と呼ばれた、木嶋佳苗死刑囚の100日裁判の傍聴記となっております。

 

2009年、一人の男性(41)が車内で自殺として発見される。

死因は練炭による一酸化炭素中毒。この自殺には不審な点が多く、

他殺の可能性もあるとして捜査。

そこで彼女の名前があがり逮捕される事となる。

こちらの男性が婚活サイトに登録していた事から洗いにかけると、

その他二件の同様の手口での殺人・詐欺容疑が浮上、一括審理で死刑求刑。

 

上記のみならず、窃盗やその他での詐欺ならびに詐欺未遂等では計10件。

全てが発覚する迄の間、1億を超える額を手に入れて湯水の様に使い果たした

木嶋氏の100日裁判から、北原さんが感じた事をお書きになっています。

 

女性だからこそ書けた、女の事件。

これ、男性が書くと全くの別物で、彼女についてここまでの考察は

出来なかったのではないか、と。

例えば公判時の着用衣服、肌艶、前半と後半にお色直しをして登場するさま。

罪を犯した可能性がある、と、いじり倒される現場ですよ?

どこの誰がそんなところで目立ちt……おったわー!ここにおったわぁあ!

 

若者は知らないかもしれませんが、木嶋氏と言えば当時とても取り上げられた

人物でありました。

何でかって?「不美人」で。不美人の肥満。なのにどうしてそんな女が

億近い金を男からどんどん引き出せるのだ!という部分。

 

不美人で肥満で謙虚さゼロ、となると、多くの人は出る杭は打ちたくなる。

「ブスのくせになんでこいつはこんなに堂々としてるのだ」

「こんなにデブでブスが」

もうついて回るのはこのセリフ。で、たいてい、床上手なのであろう!

すんごいんであろう、という想像。

 

この事件の舞台は婚活サイトです。

でもこれってよくよく考えてみると、普通に暮らしていて

男やもめだったとしても何かしら誰かしらが心配したりしてくれて

なんなら紹介だとか飲み会だとかにさり気なく女性を手配していたりして

どうにかこうにか「お友達から」でも行ける気がするのですよ。

普段から他人を避けていて、お友達と呼べる人間もおらず、結婚に踏み切ろう

女性とならなんとか…という意見は残念ながら甘いのかもしれませんね。。

 

婚活サイトに登録するタイプは二種類かな、と感じます。

一つは好奇心旺盛でその世界も知ってみたいタイプ

二つ目は自分に自信がないタイプ。

 

多くは二つ目でありましょう。実際に婚活サイトで出会おうと思うと

セッティングしてくれる側への紹介料等も発生してきますし。

 

そこで超綺麗な、自分等相手にしてくれないような美人が来たりしたら

何か裏があるのか?とか、これ最終的に壺買わされるんでは…とか

人肉喰いとか何か異常な性癖の持ち主かもしれない!

と思うんではないか、と。

 

私が逆の立場でもそう思いますもん。

凄いタイプが近づいて来たりしたらまず初めに

『私には壺を買うお金も象牙を買うお金もありません!』と言います。

 

だから不美人そして肥満、は、功を奏したのではないか、と。

後はもう、愛に飢えた一人が寂しい男性にとって、ふくよかさはもう母性!

 

彼女は驚くべき事に獄中からの手記を第三者に委ね、ブログの更新をするという

なかなかaggressiveな一面もあり、その中で星野源を口ずさんでいたり

suchmosのファンだと言ってみたり、獄中にいてとうとう本を出版したりする

やり手です。

 

字の美しさは人を表すという言葉をよく聞きましたが、字が恐ろしく美しく

文章の作成能力も極めて高い。当時、クックパッドにもIDありましたね。

リアルタイムでブログもレシピも拝見させて頂いておりましたw

まさかあのような(と言うと失礼ですが)容姿だとは想像できなかったです。。

 

そうかー……そうだよなぁ……

あんなにお金のある暮らしは…そうだよなぁ。

 

そんな事をしなくてもあれだけの能力があれば、どこかの企業で

プレゼンの女王として社内ミーティングでは毎度のように男性社員を蹴散らし

一人勝ちも夢ではなかったのではないか、と思ったり。

 

とはいえ、ね。

確かに彼女は罪を犯したし、人を騙したり、裏切ったり、命を奪ったり

それは本当にしてはいけない行為だと思うのですよ。

ですが……ネタバレしたくないので読んで頂くしかありませんが

「うん!!どうなん!!男のが怖いわ…」

と思う箇所も結構あったりするのです。

 

それで、思いました。

人にとって愛とは独占欲なのか?と。

自分のものにしたいから金銭を差し出す男。

愛の対価として金銭を受け取る女。(気分は介護)

 

もしここで彼女の持つ心の闇に気づき、何かしらの金銭要求があれば

それは何故か、どうしてか、どんな問題を抱えているのか、

お金と愛はイコールではないはずだ、あなたは何に苦しんでいるのか、

何を欲しているのか、あなたの心にある傷はどんな形だろうか

と相手が思いやりを持てば、彼女はきっと、離れていった事でしょう。

 

亡くなった方に思いやりがなかった、とは言いませんし、二人の事は

解りませんが、どうしてそうなったのかを考えると、やっぱり

簡単にお金を出してしまったのは彼女を自分の物だけにしたかった

からであって、結果的に自分なら彼女を何とかできると思い込んだ自負であった

という答えになってしまうのですね。。

 

お金が必要であれば、お金を自分で用意させる事

(例えば仕事先を紹介してやる、手配してやる、一緒に探す‥等)

出来る事は沢山あったのではないか、と思うのですよ。

甘やかすばかりが愛じゃない。

甘やかしたら愛に甘やかされて招いた結果がこれだもの。。。

 

この本を通して見たのは『愛とは何か』でした。

報道だけでは伝わらなかった様々が見えてきて、また、他にもこんな事が!

という部分にびっくりします。

あまりにも堂々とした死刑囚。

 

しかし、彼女は度重なる嘘の中で皇太子妃雅子様の遠縁、と申しております。

このセリフ!!!

精神鑑定に出すべき、このセリフ。

どこか行っちゃってる方は必ずこのセリフを口になさるんですよ。

言いたかないけど、たぶん、サイコ。

……と言うよりも、私の知っている方でこの表現をなさる方は皆

善悪の区別のつかない方が多いです。これは本当に。必ず言うんだよな、これ。

なんなんだろ。不思議。。

 

 

尚、彼女をモデルとして登場する真梨幸子さんの『五人のジュンコ』

のドラマ版では、その役を小池栄子さんが演じておられます。

 

私はその辺の女とは違うのよ感がすごいです。

5人のジュンコ

5人のジュンコ

 

 以上、長くなりましたが、本日のレビューでした。

映画『マザー!』

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日本公開中止になった「マザー!」拝見致しました。

極力、ネタバレなしで。

 

ブラック・スワン」の鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が、「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー主演女優賞を受賞した若手実力派のジェニファー・ローレンスを主演に迎えて描くサイコミステリー。郊外の一軒家に暮らす一組の夫婦のもとに、ある夜、不審な訪問者が現れたことから、夫婦の穏やかな生活は一変。翌日以降も次々と謎の訪問者が現れるが、夫は招かれざる客たちを拒む素振りも見せず、受け入れていく。そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせていき、やがてエスカレートしていく訪問者たちの行動によって事件が相次ぐ。そんな中でも妊娠し、やがて出産して母親になった妻だったが、そんな彼女を想像もしない出来事が待ち受ける。

マザー! : 作品情報 - 映画.com

 上記あらすじです。

 

これなー!!!!

これ別に日本公開中止でも問題ない作品かと……。

 

何を描かんとしているのかが感じ取れねば

「なんなん、これ、ほんま不愉快!イライラするわ!」で終わります。

因みに何を描かんとしているのか理解出来ている私でもイライラしましたw

 

まず日本と宗教観が違うのが大きな原因かと。

これ、登場人物全部、聖書の内容と被ってきます。

聖書なんか読んだことないし、誰がどうして何した、と解っていたら次に来る

展開の予想はだいたい検討つくものの、それはそれで面白くないし
だからと言って解ったところで「……どうしろと!」って話なのですよ。

 

私、超無神論者なので、はぁ、で?という感想しか…💦

 

まず神々として独立、存在している物を現代の生活や暮らしにあててきているところで

無理がある。神を擬人化とか絶対やめた方がいいw

 

あなた、今晩の食材が冷蔵庫にないけど子供たちは帰ってきてしまう、迎えも行かねばならぬ、それなのに時間がない、なんならガソリンもない、銀行はしまってる

神様!!なんとかして!!神様!!

なんて願ってなんとかなった試しがありますか??

 

それこそが「神に試されているのです」みたいなとこですw

 

神に祈る時間あったら何とかせえよ、それが日本における現代のスタイル。

 

この映画の何が腹が立つって、旦那がその「神」役割なのですよ。

見守り態勢でいられてみろ!!

ふざけんな、お前も動け、なんとかしろ!!このくそ旦那が!!

とキレてもおかしくないところです。

 

「え、嫁…忍耐。え、嫁、それ、美徳なの…」

 

テーマ云々でその通りそのまんまな流れになる訳ですが、もうその神の擬人化のスタイルが無理がある!!テーマ以前になんなんだ、ひでぇな、っていうかとにかく騒がしい…

 

としか心に残らず。

映像も後半かけてグロを超越し、なんならゴア入ってますし。

 

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日本公開中止は映画配給会社の意向となってました。

 

動かぬ旦那、常に見守る旦那、何故か高みの見物感の旦那…まぁ…

観る方が見ればそれは『神、最低』 イコール 神への冒涜!

 

配給会社はそれを恐れたんではないか、と。

よそから迄、それをつつきまわされて、あんなの公開した映画会社でしょ?

等といわれかねん、そういう判断かしら、と思うところです。

 

低予算、単館上映でなら、何とかいけた気もしますが、結構……

キャスト凄いし、美術やらを拝見する限り、金かけとんな、と。。

 

立ち眩みや眩暈の映像表現は上手で、あぁわかる、なんかそんな感じ…

とは思ったものの、アダムとイヴは津軽出身でりんご食べた人かしら、程度の

知識でこの世は充分生きていけるのではないか、と思った次第です。

 

擬人化を擬人化したと思わずに想像で「なるほど、こういう事が言いたいのだな」

と構築できれば何かとカバーされる部分が多いものの、いやなんか…それにしても

ひでぇな、神なんか最低!!に軍配が上がってしまう分、観るならきちっとした知識で

観ないと、という作品でした。

 

神があのレベルだと、昭和の亭主関白な旦那様は全て神!!

何様なんだ!!と言いたいw

 

私は無神論者ですが、神と表す物があるとしたら万物の、生きる人も各々に全て

神であると思います。大切にしたいですね。全てのものに感謝して。

 

映画『シェイプオブウォーター』ネタバレなし

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❤只今公開中なのでネタバレなしで❤

1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダオクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹(ひ)かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており……。

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 あらすじは上の通り。

 

色んな要素が散らばっている映画なので、みた直後は脳の演算が追い付かぬ為に

『言うほどだったかぁ~?』

を招きやすい話かと思うんですが、これが!!なかなかどうして!じっわじわ来る!

 

大まかなテーマから外れる事なく終盤にかけて寄せていく様はお見事。

映像の美しさといい、そこにある愛の形といい、タイトルまでもお見事です。

 

タイトルを「水の形」とした事にはそれなりの意味があり、水は形を持たない。

それは魂として、肉体との境界線をかき消す融合性の示す物。

視覚で判断できる人間の肉体などはただの入れ物に過ぎず、そこに入っている物、

要は「心」であり「愛」ですね。

 

見た目の違いで疎外したり、脅威を感じたり、闘ったり争ったり。

お前らそんなもんより大事なもんがあるだろ?あぁん?って事ですね。

 

その水の、愛の、揺蕩う状態を映像でうまく視覚化してくれたのが今作かと。

出来れば映画館でご覧になって欲しい。テレビサイズで観ると、あの美しさが

閉鎖的な物になってしまいそうで。。

 

基本的に私は何でも観ると言いながら、子供だましなファンタジー要素の強い物は

視覚で内容の奥深さをカバーしている気がしてあまり観ないんですね。

真の映画好きの方からしたら、私なんぞにわか野郎です、サーセン

 

しかしわざわざ!!我が家から往復四時間の映画館まで!!観に行った!!

行ってよかった、なんならもう一回、映画館で観たい!!

 

音楽も美術もとても良いです。

サントラとはまた別で音を充てるとしたら、JAZZがばっちんこです❤

 

色んな問題を絡めた事で話が散らばりやすいのは確かですが、この映画の何が凄いか

それはね"すべての善悪と判断を観る側に委ねる"という赦しなんですね。

 

良いも悪いもなく、後はみんなで考えて、という様な。

R-15でやったのはそこかと私は感じています。(確かに一部モザイクは入りますがw)

 

何の裁きもお達しもない場合、まだ善悪の境界線が不十分である彼らの年齢で

あれを観てしまうと果たしてそれは良いのか悪いのか、必ず迷う。

「映画でもやってたじゃん!悪くないじゃん!そういう人もいるじゃん!」

となる事を恐れたのではあるまいか、と。

 

この作品はファンタジー要素の強いものの、普通ファンタジーならそこ

フェイドアウトしてほんわかなんとなーくやろ、みたいな部分をもっそ行くとこまで

行くなぁ、でもそれが現実ってもんよなぁ、と描き切っている為に。

 

今までなんとなくふわぁんほわぁんとしていた部分を「これ現実ですよ」と

しているので、まだ夢見がちでいていい世代はそのままに、沢山夢を見てから

現実の厳しさや喜びを自分で知っていけ、という事でしょう。

 

本当の大人になってどの行動までが許されて、どの行動からが許されぬ、という

社会的な秩序も判断できるようになってからね、それから楽しんで、という事では

ないのかな、と。監督、結婚したい!!抱いて!!

 

さて、ここからは、別の話。

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これを観に行き、エンドロールも終わり、一番後ろのちょっとお高い良い席で鑑賞

していた私。出口は一番下。長い階段を降りていると30代でしょうか。

カップルが前に。

階段下では何か起きたのか、一向に前に進まない。

仕方なく薄暗い中、立ったまま、待ちぼうけ。

そうこうしていると前の二人の会話が聞こえてきたわけですね。

『お前、あんなん絶対無理じゃろ』と彼氏。

主人公は不思議ないきもの、半分魚くんです。

『あー無理じゃわw生臭そうじゃしww』と彼女。

『あんなんじゃのうても、もっとおったやろ!どんだけモテんのん!』

『せめて人間!』

……いやあんたら二時間、何を観とったんやと!!www

 

お金もったいない!……というよりも表面上で生きている人間が多いという事か。

ならばこの映画は成功だけど、R-15じゃなくても伝わらない人には伝わらない、

という事がよく解かりました。

 

つい、カップルの会話に突っ込みそうになったBBAである。

 

しかし反面、持ってるものや地位で社会的な肩書が決まる、そうであれば

『君たち、うちに遊びに来ないか?良い商品たんとあるでぇ?うへへ』

と接客したくなりました。(我が家は革製品を扱ってます)

こういう方達もいらっしゃるので、世界として成り立つっていうのも事実。

 

何事も、これはこれ、それはそれ、としての区別は必要ですね。

全てに、赦しを。

 

とても良い映画でした。★4.5!

無音で流してても映像が美しいのでDVD欲しい!!(*‘∀‘)