映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

本『駿くん殺人事件、12歳少年の犯罪心理』大沼孝次著 読了。

こんばんは。本日はこちらの本を読み終えましたん。

あまり楽しい話ではないですが…。

 サブタイトルにもある通りですが、少年"たち"となっておりまして。

2003年に起きた長崎での当時四歳の男の子を誘拐し殺害した12歳の少年を

軸として、多感期に起こる少年達の異常性欲に注目したのが本作です。

 

私、こういう本を待っていた。

 

何故かと申しますと。

この本の構成は、この一つの事件だけに焦点をあてられておりません。

ですので、世間を騒がした少年犯罪者(それも異常性欲寄りの)"たち"

が出てきます。

 

彼らが何をしでかしたか、そんな事は最早問題ではないのです。

様々なルポでだいたいはもう理解しているし、そんな事をしったところで

被害にあった方々が戻ってくるわけでもなければ、そこに対し、好奇心もない。

 

私が知りたいのはそこに至るまでの心の闇です。

何が彼らをそうさせたのか、並びに、その様に育てないためには、及び対策法です。

子供を持つ以上、加害者にも被害者にもなり得るわけですから。

 

少年Aこと酒鬼薔薇については親も子もこぞって手記なんか出してますね。

そんな言い訳じみた行為には、一切興味が御座いません。

 

この本をお書きになった大沼さんという方を私は存じ上げませんが

切り口がとても良いです。

 

まず、この駿くんの事件に触れ、その差2歳である少年Aを出し

彼らの共通点と相違点についての考察があります。

 

そこから、次は大人になった異常性欲犯罪者である宮崎勤

登場します。→12歳少年+少年A vs 宮崎勤の共通点と相違点

 

そして、精神障害者と性的倒錯者の起こす犯罪の相違点。

 

ここから、家庭として、親として、学校として、

地域として、社会として、

少年法を司る法(国)として、そして世界として……

 

と幅を持たせて行きます。

 

正直、その辺の育児書に目を通すよりも勉強になったわ。

 

彼らの闇の背後に常について回るのは母の存在。

母との関係性。

 

少年Aの母に至っては、ちょっとしたミュンヒハウゼンなのか?

と思わせる様な状態です。

代理ミュンヒハウゼン症候群 - Wikipedia

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

 

 上記にも登場しますが、この子の為なら命を捨てても惜しくない割に

誰かに責められると「私は母親として立派にやった」と言い返す。

立派にやった!と思っているのは本人のみで、間違っているかもしれない、等と

思い返す事はなかったのだろうか、と。

 

子育てには正解がない分、当人とよく向き合い、話あって、そこで

『自分の考え方だとこの子の将来を潰すかもな…自信ないわぁ…』

だとか、毎日そういう壁にぶちあたる。

それが子育てという物であると思うんですよ。

 

死ねると言った割に、私は悪くない、とわが子一人に罪を背負わすような母。

ほんとに死ねると思うんなら、そうしてしまった事に対して

自分も一緒に頭下げろよ…私やったのに、こんな言われて可哀想!!

私頑張ってるのに!!って言うのは、責任転嫁が酷過ぎる。

 

本書でもここら辺りは指摘されております。

結局、母にとって彼は所有物に過ぎなかった、と。

 

『 虐待・放任・無関心 = 溺愛・過干渉・過保護 ≠ 正しい愛情 』の図。

 

登場する三人とも、貧困でもなければどっちか言うと裕福で、親が躾に厳しく

あなたはこうしなさい、こうであるべき、の理想を押し付ける様なご家庭です。

読んでて怖くなった。完全に毒、子供が真に求める愛を何故感じようとしないのか。

過干渉で過保護である事なんてなんの意味もない。

彼らだって理解されぬ事に対して、疑問や文句のひとつもあったでしょうよ。

 

なんだろう。カレーライスと出されて、カレーが乗ってないものを

「おいしいカレーでしょ(睨)」「…か、母さん、これ、カレー乗ってn(rya」

「今日のカレーは特別おいしいわよね」

と更なる念を被せて押して来そうな、そんな雰囲気さえあります…。

究極のホラーなのか、と。心はいつも、彼らはずっと孤独そう……。

 

本書にはありませんでしたが、個人的に思う事は、この押し付けの行為の

繰り返しで『それを正しい』と学んでしまうのではないかしら、と。

彼らのした事は擁護される物ではないし、はっきり言ってクズですが。

それでもまだ大人になりきる前の事ならば。

その強引な押し付けを繰り返している内にそれが普通となってしまって、

自分よりも弱き者に性的な我を押し付ける、被害者の子が

泣いて喚いてしている姿に

自己投影している部分もあったのかもしれませんね。。。

「これが自分のされてきた事だ。泣け、喚け、血を流せ」

というような。。

何とかしてくれ、恐ろしいょ。手記なんか書いてる場合かと!

 

尚、性的倒錯者の起こす犯罪には、必ず小動物で試してみる事から始まる

と言われているので、もしそれを発見なさった地域の方がいらしたら

警戒すべきかもしれません。

 

この精神障害者と性的倒錯者の起こす犯罪の相違点の項目は個人的にとても

勉強になりました。なるほどなぁ、と。

 

社会復帰の観点から考えるとミーガン法は妥当とは言えないかもしれませんが

解らないからこそ訝しむという事もあると思うので私は賛成です。

どこかが痛いのに病気がわからなかった、釈然としないが為にあれやこれや試し

色んな部分の不具合を疑う、それにも似て、その者が解らないまま暮らしていて

何か起きた場合、何か起きてからなのか?という不安もあるので。

 

加害家族までもが永遠にそれに付き合う羽目になる、と考えると

少々気の毒ではありますが、大抵の家族はそれが冤罪ではない限り

その時点で離散でしょうし。

 

子の親ともなると、加害者にしないよう、被害者にならぬよう、

こういう問題は考えるだけで胃が痛いですが、できる限り本人の意思を

大切にして共に成長して行きたいと思いました。

(言っておきますが私は良い親でも出来た親でも何でもありませんよw

ここから共に成長するのみ、です❤)

 

少年は残酷な弓を射る [DVD]

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 私の好きなエズラ・ミラー!!

彼の眼の妖艶さと言ったら。これこそ、少年犯罪の話ですが、非常に

考えさせれらるものがありました。私は★5つ。

 

時間があればこちらのレビューもまた、ゆっくり♪

長々と(*- -)(*_ _)ペコリ