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映画『シェイプオブウォーター』ネタバレなし

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❤只今公開中なのでネタバレなしで❤

1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダオクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹(ひ)かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており……。

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 あらすじは上の通り。

 

色んな要素が散らばっている映画なので、みた直後は脳の演算が追い付かぬ為に

『言うほどだったかぁ~?』

を招きやすい話かと思うんですが、これが!!なかなかどうして!じっわじわ来る!

 

大まかなテーマから外れる事なく終盤にかけて寄せていく様はお見事。

映像の美しさといい、そこにある愛の形といい、タイトルまでもお見事です。

 

タイトルを「水の形」とした事にはそれなりの意味があり、水は形を持たない。

それは魂として、肉体との境界線をかき消す融合性の示す物。

視覚で判断できる人間の肉体などはただの入れ物に過ぎず、そこに入っている物、

要は「心」であり「愛」ですね。

 

見た目の違いで疎外したり、脅威を感じたり、闘ったり争ったり。

お前らそんなもんより大事なもんがあるだろ?あぁん?って事ですね。

 

その水の、愛の、揺蕩う状態を映像でうまく視覚化してくれたのが今作かと。

出来れば映画館でご覧になって欲しい。テレビサイズで観ると、あの美しさが

閉鎖的な物になってしまいそうで。。

 

基本的に私は何でも観ると言いながら、子供だましなファンタジー要素の強い物は

視覚で内容の奥深さをカバーしている気がしてあまり観ないんですね。

真の映画好きの方からしたら、私なんぞにわか野郎です、サーセン

 

しかしわざわざ!!我が家から往復四時間の映画館まで!!観に行った!!

行ってよかった、なんならもう一回、映画館で観たい!!

 

音楽も美術もとても良いです。

サントラとはまた別で音を充てるとしたら、JAZZがばっちんこです❤

 

色んな問題を絡めた事で話が散らばりやすいのは確かですが、この映画の何が凄いか

それはね"すべての善悪と判断を観る側に委ねる"という赦しなんですね。

 

良いも悪いもなく、後はみんなで考えて、という様な。

R-15でやったのはそこかと私は感じています。(確かに一部モザイクは入りますがw)

 

何の裁きもお達しもない場合、まだ善悪の境界線が不十分である彼らの年齢で

あれを観てしまうと果たしてそれは良いのか悪いのか、必ず迷う。

「映画でもやってたじゃん!悪くないじゃん!そういう人もいるじゃん!」

となる事を恐れたのではあるまいか、と。

 

この作品はファンタジー要素の強いものの、普通ファンタジーならそこ

フェイドアウトしてほんわかなんとなーくやろ、みたいな部分をもっそ行くとこまで

行くなぁ、でもそれが現実ってもんよなぁ、と描き切っている為に。

 

今までなんとなくふわぁんほわぁんとしていた部分を「これ現実ですよ」と

しているので、まだ夢見がちでいていい世代はそのままに、沢山夢を見てから

現実の厳しさや喜びを自分で知っていけ、という事でしょう。

 

本当の大人になってどの行動までが許されて、どの行動からが許されぬ、という

社会的な秩序も判断できるようになってからね、それから楽しんで、という事では

ないのかな、と。監督、結婚したい!!抱いて!!

 

さて、ここからは、別の話。

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これを観に行き、エンドロールも終わり、一番後ろのちょっとお高い良い席で鑑賞

していた私。出口は一番下。長い階段を降りていると30代でしょうか。

カップルが前に。

階段下では何か起きたのか、一向に前に進まない。

仕方なく薄暗い中、立ったまま、待ちぼうけ。

そうこうしていると前の二人の会話が聞こえてきたわけですね。

『お前、あんなん絶対無理じゃろ』と彼氏。

主人公は不思議ないきもの、半分魚くんです。

『あー無理じゃわw生臭そうじゃしww』と彼女。

『あんなんじゃのうても、もっとおったやろ!どんだけモテんのん!』

『せめて人間!』

……いやあんたら二時間、何を観とったんやと!!www

 

お金もったいない!……というよりも表面上で生きている人間が多いという事か。

ならばこの映画は成功だけど、R-15じゃなくても伝わらない人には伝わらない、

という事がよく解かりました。

 

つい、カップルの会話に突っ込みそうになったBBAである。

 

しかし反面、持ってるものや地位で社会的な肩書が決まる、そうであれば

『君たち、うちに遊びに来ないか?良い商品たんとあるでぇ?うへへ』

と接客したくなりました。(我が家は革製品を扱ってます)

こういう方達もいらっしゃるので、世界として成り立つっていうのも事実。

 

何事も、これはこれ、それはそれ、としての区別は必要ですね。

全てに、赦しを。

 

とても良い映画でした。★4.5!

無音で流してても映像が美しいのでDVD欲しい!!(*‘∀‘)