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📖コロナの時代の僕ら/パオロ·ジョルダーノ(著)

こんばんは。こちらのブログが全く更新できておりません!

書かねば書かねばと思っている内にどんどん日が経ち、世の中がひどい有様です。

 

東京も一時的に感染者数が下がったものの、自粛解除後、また盛り返して来ている状態に、経済も人命もなかなかの打撃を食らっておりますが…。

 

そんな今、読むべき本を読んだのでご紹介しておきます。

 

コロナの時代の僕ら | パオロ・ジョルダーノ, Paolo Giordano, 飯田亮介 |本 | 通販 | Amazon

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コロナの時代の僕ら

感染症とは僕らのさまざまな関係を侵す病だ。この災いに立ち向かうために、僕らは何をするべきだったのだろう。何をしてはいけなかったのだろう。そしてこれから、何をしたらよいのだろう。コロナの時代を生きる人々へイタリアを代表する小説家が贈る、痛切で、誠実なエッセイ集。

 

これをお書きになったパオロさんですが、トリノ大学大学院博士課程修了なさった方で、ご専攻は素粒子物理学との事。お父様はお医者様です。今年2020年、二月末から三月にかけて書き下ろされたもので、ご自身がお得意とする分野でもある"数学"からのアプローチでエッセイが構成されていますが非常にわかりやすい。

 

新型コロナについては勿論ですが、それを受け止めるべき生きる人間の心の在り方、という物がとてもスマートに描かれ、文体も瑞々しく、短いエッセイ集ながら、内容の濃い芸術的学術書のような感覚さえありました。沢山の方の目に留まると良いな、と思う一冊です。

 

日本はこんなにも感染者数が増えていく一方で、経済的な打撃もこれ以上は補填できない、と国が考えたのか、この最中にGO TOキャンペーンなる物を打ち出し、国民からは避難の嵐だったところです。私も商売人なので理解できなくもない。理解できなくもないですが、かといって、では、と皆がどこかのお宿に押しかけて、クラスター化してしまったら、どこが責任をとるのか。風評程度では済みませんし、長く長く言われてしまうでしょう。出ていけ、と街を追われる騒ぎになるかもしれない。創業何年、が、軽く吹っ飛ぶような話です。

 

一方、私がその時、一番に感銘をうけたのが、この本の中の一節でした。

著者には次に控えていたパーティの予定があったらしく、出るか出まいか相当悩み、そんな折、以前訪れた貧困を極めた場所の事を思い出したそう。自分がそのパーティーに出て感染した場合、その、医療体制も何も整っていない場所の人たちを窮地に陥れてしまうかもしれない、だから僕はパーティをやめた、といった内容の箇所。

 

こんな事は誰にとっても初めてで、目の前の事にしか目が向かなくて当然かもしれません。しかし、どの程度で感染が蔓延するか、を考えられる人は【自分圏内から少しだけ向こう側】の事も視野に入れて動けるのです。バタフライエフェクトのような話ですが、実際に感染症ではそれも起こり得るのが現実で、自分はよくても遠い場所の誰かの命を追いやる事も出来てしまう。

 

日本は島国で、直接にどことも接していないからそんな事は起こらない、とも言いきれない。もっと狭い範囲に絞ると、近場であれば、自分が感染して平気だったとしても、自分の祖父母やお隣の…といった具合ですね。著者の語る、その実際に目で見たショックを受ける程の貧困さの中でも生きて、暮らしている人がいた、自分たちはもっと恵まれた場所で生活し、それらの事を蔑ろにしてはいないだろうか、と広域で、結局は自分たちが自分たちの首を絞めている、と語っています。

 

感染、また感染、と繰り返す内にウイルスの耐性も上がります。もしかすると、郵便物等に付着して…が、いつ起きても不思議ではない。今は移す事も、移る事もご法度で。誰の命も追いやる事のないように心がけたいものです。

 

本書では、誰がどのようにしてどう移し蔓延したか、という事よりも、起きてしまった事態に対し、僕らはどのように対処し生きていくべきだろう、をわかりやすく書き起こしてあります。

 

私も考えました。

 

私はもし死亡した場合、墓もいらないというタイプなのですが、もし役立てて頂けるなら…と、この事態をきちんと綴っておこうと思っています。長い先で、また、同じような感染症が蔓延するかもしれない。そうなると、私の子供たちから派生した命はきっと

「昔にもこんな事があったらしいね」となる。そうなった時、昔はこうだったらしいよ、となっても、その時、近しい人間がどこで暮らし、どんな風に日々を眺め、どのように蔓延したか、の詳細まではネットでは出てこないと思うのです。日記ですね、日記。

 

本日何時、東京では何人の発表があり、各地の状況もこうでああで…

現状わかっている事はこうでああで…

感染を防ぐにはこれがよいと国が発表したが…云々

 

そうした「コロナ日記」なる物を、日ごろの日記帳とは別につけておくべきだと思い、そのように致しております。誰にとっても初めての事なので、出来る事を選ぶとしたら、先での人間が困らぬよう、そうして命を紡いでいければそれが一番にベストでしょう。

 

本書ではわかりやすいR0値の出し方、考え方、コロナウィルスがなぜ蔓延してしまったのか、感染症が蔓延した時、人はどう動きどう考えるのか、等が短い中にも誰にでも理解できるように描かれています。ぜひ、読んで!!

 

自分たちが出来る事を選んでいきましょう。どうぞ心まで籠りきりにならぬよう、皆様も感染症には充分にお気をつけて、明日へ。

 

お付き合い、ありがとうございました♡♡