映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

本『毒婦。』北原みのり著 読了。

本日3月11日は『コラムの日』らしいです。

というわけで!

たまたま本日読み終わった一冊がコラムニストである北原みのりさんの本だった!

と言うだけなんですが(;'∀')

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

 

 平成の毒婦と呼ばれた、木嶋佳苗死刑囚の100日裁判の傍聴記となっております。

 

2009年、一人の男性(41)が車内で自殺として発見される。

死因は練炭による一酸化炭素中毒。この自殺には不審な点が多く、

他殺の可能性もあるとして捜査。

そこで彼女の名前があがり逮捕される事となる。

こちらの男性が婚活サイトに登録していた事から洗いにかけると、

その他二件の同様の手口での殺人・詐欺容疑が浮上、一括審理で死刑求刑。

 

上記のみならず、窃盗やその他での詐欺ならびに詐欺未遂等では計10件。

全てが発覚する迄の間、1億を超える額を手に入れて湯水の様に使い果たした

木嶋氏の100日裁判から、北原さんが感じた事をお書きになっています。

 

女性だからこそ書けた、女の事件。

これ、男性が書くと全くの別物で、彼女についてここまでの考察は

出来なかったのではないか、と。

例えば公判時の着用衣服、肌艶、前半と後半にお色直しをして登場するさま。

罪を犯した可能性がある、と、いじり倒される現場ですよ?

どこの誰がそんなところで目立ちt……おったわー!ここにおったわぁあ!

 

若者は知らないかもしれませんが、木嶋氏と言えば当時とても取り上げられた

人物でありました。

何でかって?「不美人」で。不美人の肥満。なのにどうしてそんな女が

億近い金を男からどんどん引き出せるのだ!という部分。

 

不美人で肥満で謙虚さゼロ、となると、多くの人は出る杭は打ちたくなる。

「ブスのくせになんでこいつはこんなに堂々としてるのだ」

「こんなにデブでブスが」

もうついて回るのはこのセリフ。で、たいてい、床上手なのであろう!

すんごいんであろう、という想像。

 

この事件の舞台は婚活サイトです。

でもこれってよくよく考えてみると、普通に暮らしていて

男やもめだったとしても何かしら誰かしらが心配したりしてくれて

なんなら紹介だとか飲み会だとかにさり気なく女性を手配していたりして

どうにかこうにか「お友達から」でも行ける気がするのですよ。

普段から他人を避けていて、お友達と呼べる人間もおらず、結婚に踏み切ろう

女性とならなんとか…という意見は残念ながら甘いのかもしれませんね。。

 

婚活サイトに登録するタイプは二種類かな、と感じます。

一つは好奇心旺盛でその世界も知ってみたいタイプ

二つ目は自分に自信がないタイプ。

 

多くは二つ目でありましょう。実際に婚活サイトで出会おうと思うと

セッティングしてくれる側への紹介料等も発生してきますし。

 

そこで超綺麗な、自分等相手にしてくれないような美人が来たりしたら

何か裏があるのか?とか、これ最終的に壺買わされるんでは…とか

人肉喰いとか何か異常な性癖の持ち主かもしれない!

と思うんではないか、と。

 

私が逆の立場でもそう思いますもん。

凄いタイプが近づいて来たりしたらまず初めに

『私には壺を買うお金も象牙を買うお金もありません!』と言います。

 

だから不美人そして肥満、は、功を奏したのではないか、と。

後はもう、愛に飢えた一人が寂しい男性にとって、ふくよかさはもう母性!

 

彼女は驚くべき事に獄中からの手記を第三者に委ね、ブログの更新をするという

なかなかaggressiveな一面もあり、その中で星野源を口ずさんでいたり

suchmosのファンだと言ってみたり、獄中にいてとうとう本を出版したりする

やり手です。

 

字の美しさは人を表すという言葉をよく聞きましたが、字が恐ろしく美しく

文章の作成能力も極めて高い。当時、クックパッドにもIDありましたね。

リアルタイムでブログもレシピも拝見させて頂いておりましたw

まさかあのような(と言うと失礼ですが)容姿だとは想像できなかったです。。

 

そうかー……そうだよなぁ……

あんなにお金のある暮らしは…そうだよなぁ。

 

そんな事をしなくてもあれだけの能力があれば、どこかの企業で

プレゼンの女王として社内ミーティングでは毎度のように男性社員を蹴散らし

一人勝ちも夢ではなかったのではないか、と思ったり。

 

とはいえ、ね。

確かに彼女は罪を犯したし、人を騙したり、裏切ったり、命を奪ったり

それは本当にしてはいけない行為だと思うのですよ。

ですが……ネタバレしたくないので読んで頂くしかありませんが

「うん!!どうなん!!男のが怖いわ…」

と思う箇所も結構あったりするのです。

 

それで、思いました。

人にとって愛とは独占欲なのか?と。

自分のものにしたいから金銭を差し出す男。

愛の対価として金銭を受け取る女。(気分は介護)

 

もしここで彼女の持つ心の闇に気づき、何かしらの金銭要求があれば

それは何故か、どうしてか、どんな問題を抱えているのか、

お金と愛はイコールではないはずだ、あなたは何に苦しんでいるのか、

何を欲しているのか、あなたの心にある傷はどんな形だろうか

と相手が思いやりを持てば、彼女はきっと、離れていった事でしょう。

 

亡くなった方に思いやりがなかった、とは言いませんし、二人の事は

解りませんが、どうしてそうなったのかを考えると、やっぱり

簡単にお金を出してしまったのは彼女を自分の物だけにしたかった

からであって、結果的に自分なら彼女を何とかできると思い込んだ自負であった

という答えになってしまうのですね。。

 

お金が必要であれば、お金を自分で用意させる事

(例えば仕事先を紹介してやる、手配してやる、一緒に探す‥等)

出来る事は沢山あったのではないか、と思うのですよ。

甘やかすばかりが愛じゃない。

甘やかしたら愛に甘やかされて招いた結果がこれだもの。。。

 

この本を通して見たのは『愛とは何か』でした。

報道だけでは伝わらなかった様々が見えてきて、また、他にもこんな事が!

という部分にびっくりします。

あまりにも堂々とした死刑囚。

 

しかし、彼女は度重なる嘘の中で皇太子妃雅子様の遠縁、と申しております。

このセリフ!!!

精神鑑定に出すべき、このセリフ。

どこか行っちゃってる方は必ずこのセリフを口になさるんですよ。

言いたかないけど、たぶん、サイコ。

……と言うよりも、私の知っている方でこの表現をなさる方は皆

善悪の区別のつかない方が多いです。これは本当に。必ず言うんだよな、これ。

なんなんだろ。不思議。。

 

 

尚、彼女をモデルとして登場する真梨幸子さんの『五人のジュンコ』

のドラマ版では、その役を小池栄子さんが演じておられます。

 

私はその辺の女とは違うのよ感がすごいです。

5人のジュンコ

5人のジュンコ

 

 以上、長くなりましたが、本日のレビューでした。