映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

映画『15時17分、パリ行き』

現在公開中の為、ネタバレありとなしを途中でわけます❤

 

まずはネタバレなしから。

 

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2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。

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以上があらすじです。

 

これからご覧になる方が知っておいた方が良い情報としては

 

■2015年に起きたタリス銃乱射事件を基に制作された映画である。

■実際にその時闘った英雄米兵と友達という構成の三人と

乗り合わせていた乗客がキャスティングされている事。

■監督がクリント・イーストウッドである。

 

という完全再現V状態で撮られております。

(映画の脚本構成上、少々の脚色はあります。)

 

上記三点さえ念頭に置いておけばこの話が映画化された事にも

納得行くかと。

 

これ、知ると知らないではえらい違いですw

 

知らずに観てしまうと、え、どういう事?

今になってクリント・イーストウッドはどうして

『それいけズッコケ三人組』をハリウッドでやろうと思ったの?

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

 

 と、イーストウッド氏をただのボケ老人扱いし兼ねませんww

 

それでは素敵な旅を♪♪

タリス鉄道アムステルダム発パリ行き、発車致します🚅

 

=================【ここからネタバレ】=================

アムステルダム発パリ行き、発車致します。閉まるドアにご注意ください。

乗車券がまだの方はご乗車頂けません。

 

何でしょうか……

とにかくよくやったな、の一言に尽きます。

 

実際のメンバーで実際の回想って、その時には瞬間的にその動きが出来ても

時間がたってよくよく考えてみると、幾ら米兵さんと言えど

しっこちびりそうな話ですよね。。

 

よくある若者の普通の日常から誰にでも訪れるかもしれない

危機的状況までをリアルに描き切り、実際にあの場にいたら

自分には何が出来ただろう、と考えさせられる様な

前半ののんびり感から打って変わっての感動迄!

 

 私がイーストウッド作品で思う事は、あの人は

現代社会で過去の遺産となろうとしている人としての尊厳」や

「友情」「人間同士のコミュニケーション」に力を注いでいるなぁと

思うのですが。

映画製作にあたり、誰もが心温まり、何者も糾弾しない映画製作を!

そういう事を自分の中に置いておられるのかなぁ、と。

 

映画の中で一部端折ってしまわれていた部分に今作の赦しの真髄を

感じました。

 

この事件、確かに犯人の銃の調子が宜しくなかったという事もありますが

問題は『乗務員が乗客皆殺し覚悟で乗務員室に閉じこもり鍵をかけた』

いう部分です。

 

当然、三人がいなかったら、銃が不発だったとしても自分の命さえ

捨ててこそのイスラム過激派、持っていた小刀でバッサバッサやったでしょうな。

 

何となくやんわりとそこを指摘したんではないかと思われた部分が

旅の途中で知り合ったリサにした質問。

 

『自分達はフランス向きかどうか』

これは何となくその部分を暗に示した部分だったのではないか、と。

 

さすがにその国の鉄道での出来事なので、件の国民の方々も拝見なさると

思うのです。嫌な気分にさせない描き方は素晴らしいな、と。

老人、流石だね!思いましたわ。

 

あの表彰もきっと

「我が国の民たちよ、彼らを見習え。勇気を捨てるな。希望を持って

立ち向かえ」

みたいな意味もあったのではないか、と。(大統領からの超絶プレッシャーw)

 

落ちこぼれで、なんかっちゃあ呼び出される彼らでしたが

学校教育が全てではなく、時には自分の直感で、自身さえ捨てる様な

勇気があればきっと神は味方してくれるであろう、というメッセージ性も

あるなぁ、と感じました。

(無神論者なので、その辺りは信念を貫けとしておきますがw)

 

しかしちょっとだけ不思議に感じる無神論者。

 

彼は常に平和の為の道具になりたいと寝る前にお願いしていました。

実はその為に事件が用意されたかのように偶発的に起きてしまったのだとしたら…

 

お前乗っとらんかったらその事件起きひんかったんちゃうん!

 変なお願いしたでやろ!

 

等とは思っても口にしてはいけません。

 

何よりも彼らの行動に多大なる称賛を!!

 

それいけズッコケ三人組は大きくなって立派な大人になりましたとさ、

めでたしめでたし(親も喜ぶ)を観たようでとても温かい気持ちになりました。

 

良い映画でしたよ❤❤