映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

お薦め本詰め合わせ号(全9冊)

面白かった(おススメ本)の詰め合わせ号です💓

※順不同であり、カテゴリーも発売年も区分けナシでお送り致します😊

※マイベストではありません。

 

【📖人間には向いてない / 黒澤いづみ📖】

内容紹介

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

 

SFなのか、サスペンスなのか、ミステリーなのか…と迷うところですが、これは素晴らしい社会派ドラマ!異形である=普通や通常と呼ばれる物とは異なる=障害を持つ子の親が抱える苦悩やそれを取り巻く社会、と読める部分もあり、どの方向からも楽しめ、そして考えさせられる素晴らしい内容でした。kindle版も出ています。

 

【📖火のないところに煙は / 芦沢央📖】

内容紹介

本年度ミステリ・ランキングの大本命! この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!

 

ホラーやミステリーはよく読むのでそんなに怖いと思う事がないのですが、これは怖かった。何が怖いって、え?現実?創作?何?それにしてはよく出来てるよねぇ…っていう怖さがあります。装丁も大変凝っていて、裏表紙ー!よく見てそこぉー!ですw

なかなか楽しませて頂きました💓kindle版もあります。

 

【📖藻屑蟹 / 赤松利市📖】👊今季、大本命!

選考委員、激賞! 62歳、住所不定、無職の大型新人、第1回大藪春彦新人賞を受賞し、鮮烈デビュー! の受賞作には続きがあった! 受賞作に第二章~第四賞を加筆した全四章を合本! 編集部も騒然の問題作を、電子ファーストで緊急刊行!

大藪春彦新人賞の選評
今野敏 選評(抜粋)
内容の濃さで群を抜いていた。この短い作品の中で、登場人物の印象を変えてみせている。これはなかなかの筆力だ。迷いなく受賞作に推した。

馳星周 選評(抜粋)
記念すべき第一回の受賞作がこのように完成度の高いものであることは、故大藪春彦氏も喜んでいるのではないだろうか。

徳間書店文芸編集部編集長 選評(抜粋)
世に出さなければならないという使命感を抱くほど、作品力は群を抜いていました。

●受賞の言葉(抜粋)
書き続ければ報われると知った。たとえ将来、路上に帰らざるを得ないほど困窮しても、日銭仕事に執筆の時間を犠牲にするくらいなら、わたしは何の躊躇もなく路上に帰ります。その覚悟を受賞の言葉としたい。

●あらすじ
二十七歳で人生を諦めた男。彼は原発事故の模様をテレビで見ていた。これから何かが変わる??そう信じて。しかし待っていたのは何も変わらない毎日と、除染作業員、原発避難民たちが街に住み始めたことよる苛立ちだった。
六年後、彼は金を得るために、高校時代の友人・純也の伝手で除染作業員となる。しかし、それは純也のある計画のために利用されているだけだった……。

 残念ながらkindle版しか出ていないのですが、これについてtwitterで言及したところ多くの方が読んでくれたらしく、紹介冥利に尽きました💓その他、赤松作品はどれも激ノアール。

ですが、やはり、出版は社会的な問題及び著者の安全性も考慮し、それでも読みたい方だけが読めばよいという『新しい電子書籍の可能性』を感じました。なるほど、こうした使い方というのはとても未来があるなぁ、と。それ程に問題作だと思います。

今季一押し、のおススメ。

 

【📖さざなみのよる / 木皿泉📖】

小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!

木皿作品は大好きなのですが、これはもう5ページにも到達しない内から涙がホロホロ零れ仕方がなかったです。本当にどの章も泣ける。

「富士ファミリー」というタイトルでドラマ化されていたらしいのですが、この繊細な文章とその時に感じる静かな情感は……これは…演技では難しい。人は何のために生きるか、生きていると意味とは何か、を、読みやすく、人間ドラマとして仕上げてあります。人は生きているだけで、その存在で誰かを生かす、を教えてくれる良い本です。

※+αで恐縮ですが、木皿作品で言うともこちらの『昨夜のカレー、明日のパン』も非常におススメで私の大好きな一作でもあります。最後の最後に「ふわぁあん!」と泣いてしまいそうなエモさがある。大好きなので、おススメです。どちらもkindle版、有。

 

【📖ひりつく夜の音/小野寺史宜📖】

大人の男は、なかなか泣かない。では、なぜ下田保幸(47) は、ひとりで涙を流しているのか? 元、いや現役のクラリネット奏者、年収はパート並だが狭小住宅所有。スーパーの安売りと朝食海賊が数少ない楽しみで、一心同体だったはずのクラリネットに触ることはほとんどない。でも――。その夜の警察からの電話が彼の記憶を揺さぶる。もしかして――。すべてをあきらめていた男が、もう一度人生を取り戻すまで。その一年間の全記録。

小野寺作品の恐ろしい読みやすさ!!

これは音楽をやっていた人間であれば、本当によく解かる話だった。逆に言うと、そのいい加減さ等はわけがわからないかもしれないけれど、音楽で繋がっていた人間は多少の人間性(と言いましょうか生き方の不器用さ)に問題があったとしても志すところは一緒なので、少しまた別の次元で繋がっていて、それを生業としていくには色んな思いもして…とやめてしまった、諦めてしまったところからの再スタートはとてもよく響きました。こちらの作品と共に

今年刊行となった「夜の側にたつ」という話があるのですが、ちょっとだけリンクしていて、こちらは少しサスペンス要素があるのですが、これはこれでまた良いです、エモいです。どちらにも銀座の喫茶店「銀」が出てきたりするので、関連性やすれ違ってるのかもなぁと思いを馳せると楽しめます❤

 

【📖ゆずこの形見/伊藤たかみ📖】

妻が出張先のホテルで死んだ。実は男との浮気旅行だった。幼い息子と土産の冷凍カニを残された夫は、妻の本心を探るため、不倫相手に会いにいく。各紙で絶賛された、芥川賞作家の最高傑作! 

太一と息子は、食べていくことでゆずこの死を受け入れていく。
これは「文学」の言葉であるという稀有な感触をもった傑作だ----田中和生氏(毎日新聞)

奥さんが別の男と過ごした先で亡くなったのに、日々を坦々と過ごしながら、残されたわが子と生前には見る顔のなかったあれやこれにきちんと折り合いをつけていく様が広い意味での愛情に感じられてとても良かったです💓これに収録されている夢見入門という話も色々があって今があるんけだど、なんかそれでも生きてるんだよね、な素っ気無さにイキイキとした日々が裏付けられていて、なんか、よいのです💓

坦々とした、あまり動きのない日常が、逆にねw伊藤たかみさんは文章が上手。人の心の動きにも多くの赦しがあって好き。

 

【📖ばかもの/絲山秋子📖】

高崎で気ままな大学生活を送るヒデは、勝気な年上女性・額子に夢中だ。だが突然、結婚を決意した彼女に捨てられてしまう。何とか大学を卒業し就職するが、ヒデはいつしかアルコール依存症になり、周囲から孤立。一方、額子も不慮の事故で大怪我を負い、離婚を経験する。全てを喪失し絶望の果て、男女は再会する。長い歳月を経て、ようやく二人にも静謐な時間が流れはじめる。傑作恋愛長編。

 テンポが命の絲山作品。こちら、もう文庫がないのでkindle版にてすぐにお読み頂けます。全く読めない流れながら、その中に、人の持つ痛みがとても上手に織り込まれており、最後、苦い。そもそも恋愛小説苦手なのですよ。。他人の恋愛も、何か考えさせるテーマがないと読んでいるのが苦痛ですが、これはもう、苦い。

映画『100円の恋』が良かったと思う方はこちらを読まれると似通った苦さがある作品なので共感頂けるかと。

 

と、一気に沢山紹介したので、またその他も載せていきたいと思います💓