映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

📖本📖『ボラード病』ー吉村萬壱著

本日はこの本について❤

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これな~!!!

 

いや、吉村さんこれ本当によく書かれたと思うよっっ。

 

ブックメーターの評価凄いのも頷ける。

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レビューが370件も入ってて100%の五つ星を叩き出す結果に。

 

あらすじですが。

 

生れ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結び合い、「海塚讃歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らすことができる故郷―。密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。

 

 

主人公、大栗恭子ちゃん(当時小学校五年生)の当時の

B県にある海塚市で暮らした日々の回想から始まります。

 

まるで小学生の書く作文を読んでいるような気分で

ページをめくる事になりますが、そこに描かれた

そこから感じられる物の音、景色、匂いなどは

大変リアル、それなのに……。

 

何故でしょうか、確かにその文章には五感に訴えかける

様々が記されているのに、そこは何の音もせず

とても無機質に響きます。

なんの温もりもない、空虚さ。

 

その不穏感をどんどん募らせたままひたすらに

ページが進んでいき、最終章。

 

最終章では現在の年齢の大栗恭子さんが語りべを

受け継ぎます。

その!終わり方!

 

「え!!」

 

となりますwww

 

私はハードカバーの方を所持しているので

文庫サイズの方の終わりは存じ上げませんが

たいていの賞受賞作品には「あとがき」などが

付けられるところ、この本に至っては

「え!!」のまま、何の説明も補足もなく

終わっています。

 

ウヒョー!!!ってなるやつwww

 

賛否両論ありそうかな、と言う内容ですが

これに対し物申す事自体が「言論統制と弾圧」であり

"ディストピア小説のテーマとはそういう物だ"

となってしまうわけですね。

 

すごい。

現実と照らし合わせて考えてしまう方がいたら確実に

『不謹慎な内容だ!』『風評被害になり兼ねない』

と言い出すところですが、あくまでB県の海塚は架空の街

ただ似たような部分が現実に横たわっているというだけで。

 

ここは素晴らしい場所!だとか、上辺の美しさに

魅了された時代は終わり、世界のどこにいても

内部事情を垂れ流すSNSで事態を把握できる世の中に

なってしまった以上、誰もそんな上辺だけの

作りこまれた美しさに見向きもしなくなってしまいました。

(でもね、美しい物のすべてが綺麗ごとかと言うと

そうでもないんですよw

美しいから嘘に違いない、こういうのは受け付けないって

いう最近の物の見方には、私は少々の違和感を感じます。

全く本とは関係のない個人的見解ですがw

経験したからこそ掬える上澄みの部分だけを魅せるという

美学も存在するわけでして。)

 

 

そういう時代だからこそ、余計に、この展開は

面白い。

まず誰も描かないであろう、無駄に刺激する事のないように、

そうした風潮の中から打ち破られたディストピア展開って

誰も考えつかなったであろうし、凄いな、さすが作家だな~!

と思いましたw

 

面白いです。超おススメ致します。

ページ数もそんなに多くないので早い方なら三時間もあれば

読めてしまうと思います。

 

最後「こっわぁぁぁあ!」って言ってほしいww

それ、聞きたいですw

 

ハード版の表紙も、もう怖い。

ボラード病

ボラード病

 

 こちらは文庫ver

ボラード病 (文春文庫)

ボラード病 (文春文庫)

 

 本棚にあうお好きなサイズをどうぞ❤❤