映画と本と、珈琲と。

主に映画と本についてのブログです。

📖漫画📖『ミスミソウ完全版』押切蓮介著

映画『ミスミソウ』が公開された事により

普段、漫画は読まないのですが

読んだのでそちらの方のレビューとなります。

※映画はまだ拝見致しておりません。

 

とりあえず映画のポスター。

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映画での原作再現率の高さが話題と

なっていたのであらすじも映画側の

引用で。

 

ハイスコアガール」「でろでろ」などで知られる押切蓮介の人気サスペンスコミックを、「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督のメガホンにより実写映画化。東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。主人公の春花役を本作が初主演となる「咲 Saki」の山田杏奈が演じる。

ミスミソウ : 作品情報 - 映画.com

 

都会から田舎に越して来ただけでいじめにあう。

それは家族をも巻き込んで、どんどんエスカレート!

怒り狂った主人公は復讐を誓う!

 

というリベンジ物の単純明快なストーリー。

 

ところがここで賛否両論が巻き起こるであろうと予測。

 

教えてあげましょう、田舎の恐ろしさを。

 

そんな事あるわけないじゃんw

都会から来ただけで?同じ日本なのに??

 

今までの私なら、いやちょっと無理あるだろう~w

と笑ってしまうところですが。

 

これは生半可な田舎に属すると解らない日本の闇の部分です。本気の田舎はまさしくこれ、そのもの。

 

そもそも「村八分」という言葉がある程の事です。

村八分」…この場合、火事と葬儀の二つは除くという

意味があります。(10-2=8の"八分")

滅多に耳にする事はないでしょうが「村十分」

いう言葉も存在するんです。

 

昨年、同じ様に移住してこられた私のお友達は

この「村十分」にあい、もう耐えられない!となって

東京へ逃げ帰られました。。。

私の、大切な、大好きな、お友達。

ちょっとした事件が発端でそういう結末を迎えてしまいました。

一緒に闘いましたが、それさえなかった事になっており

街は今日も平和です。

追い出した、という事実しか、残らなかった。

その原因となった問題は今では完全に"なかった事"となりました。

それは正直、これから先に死人が出てもおかしくない様な

犯罪行為と呼べる物でした。

 

友達はそれを放っておく事も、見て見ぬフリも出来なかった。

誰にとっても良いとは言えない、そういう問題が目の前にあったからです。

だから友達が声に出してそれを叫んだ。

彼女の行いは正しいと呼べるものでした。

だから私も賛同した。

 

友達は我が家の長女と同じクラスに子を持つお母さんでしたが

この問題のせいで村十分に遭い、子は登校拒否へ。

(…というよりも周囲により通えない状況へ持ち込まれた)

 

そういう現実を見たことも経験したことも感じたことも

なかったとしたら、この話は「アホくさぁ~!」に

なるわけですね。

 

その「村八分」ですが、火事と葬儀は除くってとこに

ポイントがあります。火事は自分のところも燃える率が

高くなるので仕方がないけど協力します、ってやつです。

 

後、村八分でも葬儀は呼んでやる、もしくは葬儀出すなら

協力します、この枕詞にはそれぞれに「不本意だが」が

付随します。

 

むしろ葬儀は知らない人でも来てくれると有難いのが

田舎。私にはその感覚が全く理解出来ませんが

"故人は生前沢山の人に親しまれた"という可視化が出来れば

世間体として良い=集まれば集まるほど良い

 

なんなんだ、死人は客寄せパンダかなんかなのか

 

とつっこみたくなる状態です。

ついでに、ムラハチでも葬儀に参列するとなると

香典を包むことが礼儀となりますので……

 

言いたいことは解りますね??

 

「お前、ムラハチでも呼んでやったんだから

よそと同じ程度の額じゃ話にならんだろぉお」

という無言の圧力炸裂です。

 

生前故人にあった事があろうがなかろうが、です。

ムラジュウになりたくなかったら、して当然のやって当然。

子供なんかいたら地獄ですよ。

自分一人ならどんな目に遭おうが知ったこっちゃないけど

責任の単位は家族にあるとするのが田舎ですからねぇ。

 

この村八分、裏を返せば

それ以外の事は何があろうが知りません。

どんな事が起きても私たちは関係ありません。

その原因が何であっても私たちには関係のない事ですし

田舎の関係性はそうして保たれてきたのです。

文句があるなら入ってくるな。

そういう事なのですよ。

 

映画をご覧になった方のレビューに

"中学生や高校生が警察や教師の目をかいくぐって

あそこまでできるなんていう事自体がもう

現実味がなくて笑ってしまった"

と書いてありましたが、よくお考え下さい。

 

その中学生や高校生は誰に育てられ

どの様な土地に根付いているか、という事です。

隠ぺいはお手の物ですよ?w

 

村八分になる原因は

そのやり方に賛同できないと声高に叫ぶ

等があります。

 

悪いことは悪く、それなりに裁かれるべきだ

それが今後の個人の人生を助けていく事に

なるのではないか、等と言う極めてまともな意見も

「意見した」「ここのやり方を否定した」

となり、ムラハチ、もしくはムラジュウ、という

烙印を押されます。

ひどい場合は、死者が出ようが何しようが

何も無かったことにできる、それが

"素晴らしい田舎ならではの結束力"

だと言えましょう。

 

言論統制と弾圧、同調圧力により

"あった事もなかったとしてしまえる大人たちが育んだ子供"

の物語であるので、読んだときにはゾッとしました。

 

田舎のリアルをよく描けているな、と。

 

※それもあってひとつ前の記事には「ボラード病」という

ディストピア小説を紹介したのです(*´з`)

 

私はこの地で何を言っても個人的にどう思われていても

そこまでやり込められる事はない立場にあると思います。

歓迎はされてはいないですけどね。

 

私の里はここではないとしても、主人の里へ嫁いだと

いう形ですからw

 

でも友達は違う。

なんのバックアップも持たなかった。

同じ動きをしても、私にそこまで火の粉が

飛ばなかったのはそういった理由からだと

私自身、感じています。

 

 

さて、当の漫画の内容はと言いますと…

 

復讐したところで何も元には戻らないと解りつつ

それでも自失の中、自分にできる事を模索する様な

部分は

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に似て

自身に五感が戻るその日まで

といった感じで、破壊しまくります。やりきります。

 

なので、これを完全実写化となると

相当エグイ!グロい!

に違いないんですが、色んな角度から考えても

"しゃーない!それしか多分、方法ない!"

に落ち着きますww

 

そもそもこの子が悪いわけではないので

結果的には何の救いもないですが…。

 

(復讐による殺人は悪いですが善い行いをしたところで

冤罪さえも被せてくるのが田舎の恐ろしさってやつだし

その現実からは逃れられない)

 

ハッキリ言って

スローライフなんて嘘!そんなもんねーよ!

地価の安さやら人の温もりなんて求めてたどり着くような

場所ではない、それが田舎ってもんなんだよ!

です。

 

私ですか?

緑は好きですが田舎のやり方は大嫌いです。

同調圧力言論統制も嫌いです。

 

漫画の中にあるのです。

『この街には娯楽ってもんがないからなー』

ほんとにそれです。

 

娯楽がないとなると、楽しみは何か、その対象物は常に

人間となるわけですね。

個人の在り方を上げたり下げたりしながら楽しむ。

興味や対象は常に人間。

早い話、クソですwww

 

人の目を常に意識して、人に突っ込まれない様に

常に無難を目指して頑張り、やれ公務員は立派!

とか言ってりゃいいのです。

 

公務員は神、なんて考え方が通用し

「あそこの子、公務員になったんだって」

「たいした事ないくせに…」

等と結局は嫉妬しか出ない様な円陣を組み

輪をかけて、思ってもいない『立派ねぇ』の

言葉に囲まれて生きてりゃいいのです。

 

私はそんな輪に入る気も浸る気もないし

好きにやってくれや、緑は今日も美しいな

というスタンスなので、現地に友は作りませんww

 

『東京かえれ、バ~カ!』

なんなんだ、このセリフ…と漫画を読んで思いましたが

実際そのセリフ去年聞いたわ!!

って事に驚きを隠せません。

 

漫画ではボーガンなんかも出てきて、なんでそんな物

持ってんだよ、普通、家にねーだろ…な部分ですが

田舎には『猟師』という物もおりまして

ある家には散弾銃も普通に納屋に置いてあります。

 

緑は素敵なこの地に私が望むものは本屋でも映画館でも

ゲームセンターでも何でもいいので子供たちの

少しのストレス発散の場を作ってやってほしい。

 

自分の子は本当に正しい事をしているかどうかと

少しは疑いの目も向けてほしい

田舎に対して思うのはそういう部分です。

 

どっちにしろぬくぬくしてる様なとこでは無理か!w

親である人間もこの地から出た事がないんだから

ここのやり方が皆正しいんだもんな!w

そんなもんはいじめられる側が悪くて、

嫌ならさっさと出てけや!って事なんだもんな!w

 

以上、田舎における恐ろしさはよく描けているなと

感じました。映画が楽しみです❤

 

この『田舎の恐ろしさ』が予め理解できていないと

なんの迫害wwこんなん現実ではないない!となって

楽しめないので、予習しておいて頂けると存分に楽しめるか

と思いますょ。

 

漫画版はこちら。

 

なんと小説版もあるのですよ!

小説 ミスミソウ (双葉文庫)

小説 ミスミソウ (双葉文庫)